修士保持者の研究能力について

半年前に新しいResearch Associate(研究助手っていうんですか??このポジション、いまいち何している人かわらかん。)が入ってきて、彼女は今ボスの研究の手伝いっぽいことをしている。その彼女について、不思議、というか、怪しいというか、ナンセンスというか、無駄というか、最近、科学的なセンスを欠いている気がしてしかたないので、いろいろ忘れないうちに書いておこうと思う。

彼女はあのジョンズ・ホプキンス大学の生物工学系の学科の修士を持っているらしく、履歴書を見るとこの上なく優秀で、まるですべての実験手技ができるようだ。しかも、RやMatlabのスキルもあるらしい。履歴書上では。

そして今日、2021年1月に新しくきたポスドクと「今使っている抗体のブロッキング、どう思う?チロシン残基だから、BSAにしてみるか?」みたいな話をしていたら、ラボに入ってきて、聞いてもないのになぜか話に加わってきた。で、いろいろ話をしているうちに、「ちょっと待て。リン酸化タンパク質を認識する抗体や使うブロッキング剤って、すこし気をつけないといけない理由は知ってるのか?」って話になり、次第に「ちょっと待て。お前、なぜそのリン酸化部位見てるのか知ってるのか?」という話になり、最終的に彼女が「このタンパク質にはリン酸化部位は一つしかないよ。それに活性が抑制されているのをみれば良いので、どのリン酸化部位でもいいんだろ?」と言ってきた。

….愕然としてしまった。

もう一度言わせてもらう。こいつ「ジョンズ・ホプキンス大学」の「生物工学」の「修士」だ。

そんな訳ないだろ。そして、「ちょっと待て!見てみろ!そんな訳ないだろ!!」となって実際にPhosphosite(https://www.phosphosite.org/homeAction)で見せてあげたら、「あ〜ホントだ。リン酸化タンパク質なんて見たことないから、知らんかったわ。」とか言ってきた。

言っていることが全く理解できなかったので図で説明してくれたんだが….なに言ってんだ?English please.

ウソだろ。ジョンズ・ホプキンス大学の修士号保持者。

履歴書上、彼女は、動物実験では麻酔、大腿動静脈の単離(!)、神経の結束(!)、挿管(!)、頭蓋骨のマイクロドリル、分子生物では基本的な実験手技、蛍光分析(??)ではFRET解析なんかまでできるらしい。コンピューター解析では、さきほども書いたようにR、Matlab、画像解析全般。

でも、ここに来たとき、ウェスタンブロットはできなかった(というか知らなかった)し、PCRは何か言えなかった。他の解析も「それはRでやれよ。」という回答に対して、「学部の頃の大昔にならっただけなので、できない。もう忘れてる。」だそうだ。これはもう履歴書の詐称である。

いつもウンザリするのだが、あまりにも物を知らなすぎて、何を言っているのかすぐに理解できないことが多い。たとえば「これってどうやって遠心するの?」だ。

「は?What do you mean」いつもこんなんの繰り返し。

知らないにもほどがある。それに、何人か応募者の履歴書見てきたけど、こういう人多すぎる。残念ながらうちのラボは学生もいなければ、そういった教育を行いながら仲睦まじく研究するラボではないと自分は思っている。これはある意味教育機関である大学ではあまり良くない(と自分は思う)ことなのだか、ボスからは100%で良い結果を求められているので、教科書に書いてあることを教えているヒマなんかない。

もう一度「ジョンズ・ホプキンズ大学」で勉強してきたらどうですか??