最近うちのラボについて思うこと(その2)無頓着と自分勝手ゆえの物品切れ

日付;2021/10/13(水)

このラボにいると、マネージメントに関して勉強になることが、本当に多い。

うちのRA(Research Assistant)がこの日、面白いことを言っていた。自分は気づいていたが、一向に改善しないので良いクスリだと思って一週間前から黙っておいたところだ。このRAは、ウェスタンのときに無駄に多くのForteを使う。はっきり言えば、こんな強い発色剤はそんなに頻繁には必要ない。まずは、なぜそんな発現量の低いタンパク質を、その総タンパク質量のライセートで見ようとしているのか、その実験やターゲットにしているタンパク質は本当に妥当なのか、実験の再現性という意味において検討すべきである。確かに、どうしても必要なときがあるが、それでも、色々な意味で節約しながら、考えながら使う必要があるのは、一般教養のあるアカデミック出身者ならみんな知っているだろう。そのForteのストックが切れてしまい、この日のウェスタンブロットが止まってしまったらしい。このRA、自分が一番使う頻度が高く、かつ一度の使用量が大量である(自分には権限がないので、節約しろとは言わないようにしている。それに、以前この手の注意をしたことがあるが、ノレンに腕押し状態だった)。なぜ、ウェスタンを1ヶ月以上やっていない自分が無くなりそうなのを知っていて、毎日やっている者が気が付かないのだろうか。理由は簡単。無計画で自分勝手だから(こういう人はかなりいるが、アメリカ人では意外と少ないのではなかろうか。自分の周りでは、自分勝手な人間はイXXア、XペイX、XラXス人がほとんどに見える。インX人とX国人は人による;インX>>X国)である。面白そうだからほっといた自分の性格の悪さについては群を抜いている、ということは別の問題として置いておく。それに「おかしくない?8月に頼んだばかりだけど。」とか言ってた。おかしいのはコイツの頭である。何度も言うが、なぜ毎日のように高価な試薬を大量に使っているのに、気が付かないんだろうか。一体、一度のウェスタンでどれだけForteを使っているのだろうか。そして8月からどのくらいウェスタンをやったのだろうか。ああ、そうか、あれなんでわからないんだった。

他人の実験にまで影響を与えながら、高価な試薬を大量に使ってゴミのようなデータをだすのは、本当にやめてほしいところだ。

結局Crescendoを使っていたようだが、それでイケるのならはじめからそれを使ってほしい。容量もかなり多い(つまり、一回あたりの費用が安価。)。個人的には、このCrescendoという発色剤は、かなり使いにくい。なんだか品質が不安定な気がする。結構な頻度で発色基質の消耗が早すぎる時があり、シグナルが不均一になる頻度がかなり高い。なので、重要な実験については絶対に避けるようにしている。

前にも書いたとおり、こういった整理整頓ができないラボや研究者は、優秀でないと断言できる。その理由は、実験や研究を衝動的にやっており、計画性がなく、なおかつ、必要なときに必要な物品や機材を正しく使えない可能性が高いためだ。それにこの日なんか「NYFDからデカいダンボールをラボに保管するな。火事の原因だから」というメールをもらっていたようだ。こんなことにしているのはこのPI(Principal Investigator; ラボの研究主催者)なんだし、そんなメールが転送されてきても諸事情により自分は何も動かない(良かれと思って片付けると、大変な事が起こる。もしそれによって、物が探せなくなったら、たとえ初めからなかったとしても、自分のせいにされてしまう。やるにしてもまるで軍隊のようにボスに報告してからでないと、何もできない。この程度のことなのに。結論を言えば、触らないのがお互いにとって最良、という体たらく。)が、それも整理整頓が悪い証拠の1つである。このラボでの活動も長くてもあと1年(そんなに居たいとは思わないが。)くらいだが、自分だけはデータもベンチも整理整頓しようと思う。というか、本当に本当に本当に気が付かないのだろうか??

物品の大きなダンボールがストックルーム外の床、それもベンチの隣(自分のデスクの後ろ)においてある。これはNYFD的にアウトらしい。そのうちに正式に注意が来るだろう。他のラボでこんなことなってるとこ、見たことないのだが。

この日の夜、ボスから「うちのラボがDisorganizedになってきている。(これを改善するためには)みんなの協力が必要だ。」という旨のメールが送られていた。というか、この原因って自分じゃあねぇのかよ。実験したらやりっぱなしだし、在庫のチェックもロクにせず(これはRAの仕事だが、その指示や指導を全くしないPIにも原因があると思う。それに、使ったら後片付けもできないヤツらに、自分だけやれと言われても全く従う気になれない。それに、このらラボで仕事を始めたとき、要は「協力なんかするな。お前は自分の仕事をやれ。」と言われたことをはっきりと覚えている。そういう意味ではなかった可能性だってあるが、こちらからしたら文字通りにしか理解はできない。ここは京都ではなくニューヨークである。はっきり言って当時は愕然としたが、今ではそれに完全に従って、自分の実験は自分で責任を持ってやっている。)、XXみたいに無計画に物品を発注してんの自分じゃねぇのかよ。知らねぇよXX。協力っていう意味がわかんねぇよXX。なんで他人のこと信頼しないのに、そんなことを協力しないといけねぇんだよXX。それに、片付けたりしたらキレるじゃねぇかよXX。だから誰もやらねぇんだよXX。XXじゃねぇのかXX。

これでまだマシなほう。これでどうやって実験するのか?まさか真ん中のちっさいスペースで作業するのか??いい加減に片付けろよ。ただのゴミ溜めやんか。ちなみに、このすぐ向かい側のベンチに新しいラボの人間が入ってきたのだが、既にそこからもクレームが入っている。当然である。

言いたい放題言ってしまったが、このラボはあと数年もすれば立ち行かなくなり、引っ越しを余儀なくされるだろうと個人的に思っている。これは言い過ぎではないのではないかと思う。上の写真のようにラボのベンチの汚さが半端ではなく、研究についてもトランスレーショナルスタディーの悪いところを集めたようなラボだからだ。毎週のミーティングでいつもいつも、「このひとはこればっかりやって何がしたいんだろうか….データをちゃんと解析しているんだろうか….そんな解析で次の実験をやるのだろうか….」と思う。質問しても微妙な回答しか返ってこないし(バシッとした回答ではない)。

もしかしたら、これが「落ち目」というヤツなのかもしれない…..だとしたら、これほど貴重で勉強になる体験は他にないだろう。