アカデミック研究者の勤務時間

日付;2021/03/05 (金)

今日は金曜日だし、連日の帰宅が夜10時とかなので、今日は早く帰ってやろうと思い、夕方の5時に研究室をでた。自分は朝のラッシュアワーを避けるために、朝9時半ころにラボに到着するようにしている(MTAの朝9時以降の空きっぷりは、特にマンハッタンではなかなか顕著)のだが、毎週の金曜日の朝はミーティングがあるので、朝9時から夜5時までの勤務である。明日の土曜日も最低半日は働くし、それでちょうど良いと思う。普段夜8時とかが普通なので、ラッシュアワーのときに道がこんなに混んでるとは思ってもいなかった。電車の混み具合は、当然夜間よりも人は多いが、普通だった。それに、いつの間にか夜6時でもまだ少し明るい。ラボのResearch Associateが喋っているのを聞いていたら、どうも来週からDaylight Savingが始まるらしい。もうそんな時期らしい。日本でのアメリカでのそうなのが、自分が「帰るわ。」と言うと、「どうしたん!?」みないになるというところだ。正直、面倒くさい。

買い物を終えてもまだ日がある。これで夜6時半くらい。

うちのボスも長居する人なので余計にそう思うのだが、アメリカでは仕事は早く片付けて夕方には帰った方が良い。そうしないとニューヨークではセキュリティー的にちょっと危ないし、職場では人としてちょっとおかしいと見られるかも知れない。うちのボスは、クリスマス周辺に他のラボのひとから、「は よ帰りや〜」とか、コラボレーターのひとりから、「(ボスなのに)何してんの!?」と言われているのを見かけたことがある。なんか複雑な気持ちだった。

木が邪魔だけどマンハッタンが見えてる。

どうやら、みんなと同じようなリズムで仕事をし、それでいて業績をあげるということが必要なようだ。アメリカでは普段は日本ほど業績について言われることがない(そういうラボ、もしくは、そういうポジションだからかもしれない)が、日本以上に長時間労働が評価されない。長時間でも望むものが出なかったら理解されないようである。

実際、周りのラボでそういったラボは全くない。それでいて、どうもうちのラボよりも業績があるようだ。それに、自前で凍結切片作成用のクライオスタット、PCRマシーン、フローサイトメーターなんか持っているラボもあるし、廊下のホワイトボードに貼り出してある論文なんかを見ているとけっこう良いジャーナルが何報かある。ラボによってはbioRxivの状態で何本か貼り出されている論文もある。そういったラボの人らを夜や休日にみることは、この約3.5年でほとんどなかった。bioRxivで貼り出すようなことからも、そういったラボはメンバーのモチベーションを維持するのも上手なのではないかと思う。同然、そういったプレスティッジなジャーナルに載るような研究は、長時間労働が必要ではない、というバイアスもあるかも知れない。

長い時間仕事をしている人の多く(もちろん、そうでない人もいる。学生のときにとてもお世話になった副査の教授は、文字通り一日中働いていたことを知っている。自分が修士の学生だったころ、一日20時間労働とか言ってた)は、仕事とは言え、何か余計なことをしているのではないだろうか。例えば、臨床と基礎研究をごちゃごちゃにしている、とかだ。基礎研究に臨床に絡んだことを含ませたい、というのはすごく理解できるし魅力的だが、基礎研究の目的がメカニズムを解明するという感じなので、臨床とかいう応用の最たるものを挟む余地なんかないし、論文のエディター側としても特に臨床なんかに興味はないと思う。それに、実験であればデザインが下手なのではないだろうか。以前書いたように、自分の所属ラボでは、薬剤をマウスに対してランダムアサインメントしているが、こういったことも適材適所な必要がある。そうしないとかなりの時間を要するし、投与レジメンをあまりにもきっちりしても、基礎研究の目的から見れば無駄になってしまうこともあると思う。

それに、夜7時くらいになって、「さあ帰ろう!」となっているところに夜突然どこかから戻ってきて、研究の話をはじめて、朝決めたことをまた持ち出す、みたいなことはやめてくれ。時間の無駄。結局これ。無駄が多い。