動物実験ひとまず終了

日付;2021/03/16(火)

今日、2月8日から続けてきた動物実験がようやく終了した。結果はネガティブだったが、pilot studyなのでそれで良いかと思っている。

目的はある薬剤と抗CTLA4抗体の腫瘍増殖抑制効果に相乗効果はあるかどうかを評価するというものだ。結果としては抗CTLA4抗体の効果が絶大で、かつ対照群が大きくバラついてしまったので、有意な相乗効果は検出されなかった。まぁ、次の実験に活かすしかないかなと思う。

どうもうちのラボのボスは免疫チェックポイント阻害剤との併用をやりたくてしょうがないらしい。しかし、自分はこの実験はうまくいかないのではないかと思っている。自分がこれまで研究・解析してきた薬剤が免疫チェックポイント阻害剤の効果を促進するようには思えない。そういった直接的な実験的根拠がない。ヒントは無いこともないのだが、それならばそうとin vitroかなんかで実験すべきである。まさか、それを知らんわけではないだろう。むしろ、以前、別のマウスモデルを使って実験したときは、もしかしたら免疫機能を抑制してしまう可能性を示していた。すくなくとも、NK細胞などが関与するようなメカニズムではないと考えている。これはすでにミーティングで言ってある。少なくとも2回は言っている。また、別件でどうしてもMDSCとの関与を示したいらしい、これはあるCancer Researchの論文で、同様のターゲットの薬剤を使用すると、MDSCの割合が減ったという論文を元にしているのだが、これにもあまり同意していない。なぜかというと、以前動物実験で、薬剤投与群と対照群でMDSCの比率に有意差がなかったためだ。それに、そのCancer Researchだって、実際はうちらの実験と異なる薬剤を使っており、なぜ同じ、もしくは似たデータが得られると考えているのかわからない(ただし、文字上は抑制されるはずである。よくある「三段論法」のA=B、B=CなのでA=Cだ。もしそれを本気でよしとしているなら、研究者として失格だ。)。

ちなみにこれはうちのラボの悪いところだと思う。うちのラボは、「望んでいるデータが出るようなセッティングで実験」をやる傾向にある。実験にこんなバイアスを入れるのははっきり言ってマズい。言ってみれば、この結果は偽陽性の可能性が高い。実験というのは、単に「この群とこの群で比較して、有意に変化するかどうか評価する。」などのように中立である必要がある。これはMD, PhDを掲げている半端な研究者、エセ研究者に多いと考えている。研究のグラントが落ちているにも関わらず雇ってもらっているので、言われることには文句なくやるけど、本当にやめてほしい。ボス自身のためにもならんと思うのだが。

とにかく、統計解析をやるだけやって、実験をシャットダウンした。