論文の再々投稿で焦りすぎ

日付;2021/03/04(木)

最近、動物実験と論文のリバイスで連日帰りが遅い。コロナウイルスによる規制がだんだんと緩んできていて、マディソンスクエアガーデンやバークレーセンターでは、条件付きで観客を入れだしている。最近では人出も多くなってきており、アジア人に対するヘイトクライムも増えているらしく、また少し危ない感じになるのじゃあないかとちょっと心配している。自分の住んでいるところは移民だらけのクイーンズなんで、そのあたりはローアーマンハッタンやブルックリンに比べればマシ。特に記録すべき出来事はないので、また愚痴ろうと思う。

帰りはいつもけっこう遅い。いつも思うのだが、ニューヨークのアパートの密度がむちゃくちゃ高い。

昨日、うちのボスが論文のリビジョンを急ぎだした。そして、「明日中にサブミットまで行く」的なことを言い出した。この実験、まだ完璧じゃあない気がするが。結果は良いのだが、実験のデザインにちょっと微妙なところがあり、如何せんその結果の図が悪い。具体的にはレーンの順番がすこしおかしい。いらない不要な情報(不要なレーン)を全部とってもう一度ゲルを流さないと、レビューアーからまたおかしな指摘をされそうだ。それに、もう一つの実験は抗体が結構悪く、しかもそれが唯一購入可能な抗体という感じだ。責任著者のボスがそう言うんだから自分は良いが、今後の研究ためにも、多少時間がかかってもしっかりしたデータを出すべきじゃあないだろうか。まだ1ヶ月しか経ってないし、もう少し時間をかければ、明らかに良い図が得られるのだが、そうまでして速さが必要なんだろうか。ボスのボスになんか言われたんだろうか。間に合わせたいグラントがあるんだろうか。こういうことは捏造やFetal errorの原因に違いない。現に、これら2つ、ただし前者は疑惑であるが、それぞれコラボレーターと当ラボで目撃している。これは間違いなく、うちのラボの悪いところだ。捏造疑惑については是非記録したいと思っている。

ついでに述べるが、うちのボス、かなりのマイクロマネージメントであり、自分の予想以外の結果をほとんど認めなく、その上、実験を進める上で重要なことを忘れる。前優秀ポスドクも言っていたが、かなり効率が悪い。彼はよく「録音すっぞ!」と言っていた。最近はマシ(最近、無駄なので無視することがある。それ上手く行かないとバトルになる可能性が高いので、ちゃんとそのバトルのためにエビデンスを残さないといけない。)だが、自分の研究についても、先週のミーティングや自分の机の前であんなにちゃんとディスカッションした(と自分は思った)のに、また似たような説明をする必要になったことが少なくない頻度である。マイクロマネージメントかつ許容範囲の狭さの悪いところは、自分はグラントの獲得や研究テーマの広がりに影響することだと思う。「マイクロマネージメントかつ許容範囲が狭い」ということは、まるで研究を一人で行っているように自分には思える。一人で行う研究は、進捗・発展上効率がかなり悪いし、仕事の量に限界もある。優秀ポスドクを雇ってある程度自由度の高い研究をさせ、何か面白い発見があれば、それを元に自分の専門分野の中で発展させ、そして間違いやポスドクの暴走があればそれを正す、ということが発展上効率が良いことだと思う。そうすることで、グラント申請内容が興味深く、ネタも増えるから多くのグラントに申請できるのではないだろうか。少なくとも自分の場合、小規模の研究だったが、日本ではそうだった。逆に言えば、マイクロマネージメントで幅の狭い研究をやるということは、ポスドクレベルの研究者は不要(技術員でよい)であり、研究自体の多様性や発展性がなくなり、したがってグラントにも新規性・独自性がなくなり、獲得が難しくなる、と考えている。マイクロマネージメントが必要なのは、学生だろうと思う。学生には正しい指導なり、探索的ではなくはっきりした道筋を示すほうが、両者のためである。その理由は、学生は学生であるが故に探索的な研究、解明、発見できるほど知識がなく、場合によってはコンプライアンス的にとんでもないことをする恐れさえあるからだ。無知なためにhonestである可能性もあるが、知らなかったでは済まされない。マイクロマネージメントは、今後のキャリアが必要なポスドクにとってみればあまり良くないのは明らかだと思う。自分の強みをさらに強いものにする必要があるからだ。それに、精神的に弱い人から潰れていき、すぐ辞めたり、捏造したりする。

こういうので、何よりも嫌いなのが突然ASAPと言ってくるときだ。博士課程の主査だった教授もそうだったが、これを言ってくる者にロクな人間がいない。だって先週のミーティングで「これをこうしてこうしてこうやります。」って決めたはずだ。それを急に打ち切るようにASAPだからな。これを言われる度に、適当なヤツをASAPで送ってやっている。それで仕事してくれ。望んだのはお前なんだからな。自分としても計画が途中で止まるので結構痛いが、ボスとしてもかなり痛いはずである。でも、それでいい。自分の時間は返ってこないからなぁ。いろんなことを無駄にされた、もはやせめてもの報復である。博士課程ではそういう知恵も経験も業績もなかったなぁ。全く損してた。自分はこのASAPをできる限り使わんような仕事をしようと思っている。