論文
目的
FLASH照射を臨床にトランスファーするためには、より高度な哺乳類でFLASH照射の効果を観察する必要がある。そこで著者らはミニブタとネコを使って、高線量・一回照射のFLASH照射の効果を通常の線量率の照射と比較した。
概要
照射(電子線)約6ヶ月後のミニブタの皮膚組織をHE染色で解析した結果、FLASH照射後の皮膚は非照射時とほとんど同等の組織構造だったが、一方の通常の照射では皮膚組織に壊死などが顕著に見られた。また、FLASH照射後のhair follicleの数は、非照射と同等であったが、通常のX線照射後では非照射に比べて減少した。FLASH及び通常のX線照射後の皮膚の有害事象をスコア化して解析した結果、通常のX線照射では脱毛、肥厚などが治療の初期に見られ、一部の症例では約6ヶ月後くらいに壊死なども見られたが、FLASHでは照射約6ヶ月後に脱毛が起こった。ネコ(N-6)のSCCを22から34GyのFLASH照射により治療し、その後16ヵ月間フォローアップした結果、1例のみ再発が見られ、他の腫瘍はCompletely Responseされた。
問題点1;イントロダクションがカス
まず、イントロダクションがグダグダと書かれているが、目的が明記されていない。この手の文章もよく見るが、個人的に好きではない。もし明記してあれば、よく読む必要がないからだ。読む時間の節約につながるためだ。論文中”To advance the clinical transfer of the modality, it was essential to evaluate whether the increased differential effect of FLASH-RT could also be observed in higher mammals.Consequently, we compared the effect of FLASH-RT with radiotherapy at conventional dose rate (Conv-RT) on the skin of a mini pig, which represents a well characterized radiobiological model, mimicking the reactions of human skin to radiotherapy and used high dose and single fraction as described previously (8–11).” のところが目的だが、こんな解りにくい書き方はするな。大体、ネコについて書かれていない。グダグダと中置半端なことを書かず、はっきり書け。
問題2;線量測定及び記述がゴミ
最も肝心なFLASHの線量率についてMaterials and MethodsやSupplementに詳細な記載がない。フィルムとアラニン線量計を使ってその値を治療計画のソフトウェアに入れたらしいが、だとしたらそのオリジナルの線量測定の結果を載せるのなんか、簡単と思うのだが。なぜそんなゴミみたいなのがジャーナル側はOKなんだ??全く理解できん。しかもこれ、Clinical Cancer Researchだよな???なんども言うが、このFLASHはそもそものDNA損傷の発生が違う可能性があるので、両モダリティーの吸収線量が同じであることを、少なくとも証明する必要がある。ヒトの臨床研究の論文では線量測定の結果なんか載せていないじゃあないか、とか、そういうレベルのクソ屁理屈は通らない。ヒトの場合は標準化された線量測定を経て治療をしているから、そんなもんをいちいち乗せる必要がない。この場合は、全く違うので、いちいち証明する必要がある。
問題点3;Figure 1Dの図と写真の質が悪すぎる
文字が潰れていて読めない。
写真についてはコントロール(非照射群のシリウスレッド染色)がない。
結論
線量測定の結果が載っていないし、適切なコントロールもない。正真正銘、評価は「F」のゴミ。ネコやブタだからといって、動物実験をナメんな。無責任にもほどがある。ちゃんとコントロールを設定して、適切なサンプル数を使って解析しろ。こんな研究を許可したスイスの動物実験の倫理委員会も、研究したグループも、Clinical Cancer Researchのレビューアーやエディターも、あまり頭良くないだろう。