2026/07/04(土);初稿
はじめに
先月、CPTACの解析が一通り終わって、次のネタとしてシングルセルRNAシークエンスの解析をやっていたときだった。ScanpyやscVeloなどを用いた解析を終えて、細胞のタイピングを終え、ヘルパーT細胞と細胞障害性T細胞を更に詳細に分類しようとして、pseudobulkingの後にRでGSEAしようとしたときにそれは起こってしまった。
scanpy(というかAnndata)のフォーマットであるh5adをSeuratオブジェクトに変換しようとしても、どうもうまく行かない。3年前にはできたんだけど。このためRのreticulateというパッケージが不意に入ってしまったのだが、それによりRの解析環境が圧倒的に不安定になってしまったらしい。最近では、AnndataRというパッケージがあるらしく、それにより少ないステップでh5adをSeuratオブジェクトに変換出来そうである。しかし、このAnndataRは、Rのバージョンが4.5.0以上らしく、じゃあ、R 4.5.0にアップグレードして、AnndataRも試そうかってときに本当に馬鹿なことをやってしまった。以下のコードを流してしまった….
# 絶対ながしたらアカンやつ
sudo apt remove "^r-"Bash本当は以下にするはずだったのに…
# これでRをアンインストールできる。これはシステムをぶっ壊さない。
sudo apt remove "^r-base"Bashもちろん、こんなコードを流してしまった日には、OSの破滅決定である。これに気がついたのは、エンターキーをイキってターン!と押した後、Bluetoothのドライバー群が削除され始めたときだった。本当に「え??いやいやいやいや、それはないわ。んなわけないわ。え?これ…え!?いや!!え!!!えぇぇぇぇ….」って言ったと思う。これを流した後でも、システム自体は読み込まれているので動いているのがまた最悪で、シャットダウンしたらもうGUIは動かない。最終的にターミナルも、Nautilus(ファイルマネージャー)も消え、ただただUbuntu22.04LTS のクラゲが紫のデスクトップの中に浮いているだけの状態になってしまう。もう絶望だったわ。不幸中の幸いとしては、このコンピューターは仕事に使っているわけではないことである。もし仕事に使っていたら、本当にヤバかった….

システムは完全にぶっ壊れたが、データはそのままなので、すぐにバックアップを取っておいた。


ちなみに、自分は2023年の初夏に、仕事の解析用コンピューターの起動ディスクを間違ってフォーマットしてしまい、自分でファクトリーリセットをしたことがある。これよりは、まぁ、気が楽だったわ。一旦絶望はしたが、今回は「しゃあないから、新しいUbuntuでも入れてみるか…」くらいに回復するのは比較的早かった。
Ubuntu 26.04LTS
ということで、新しくUbuntuLT26.04LTS を入れてみる。大きな改善としては、確かRustに置き換えられだしていることと、個人的にはCore i9とかの非対称コアに対応しだしたこと(これは24.04LTSかららしい)である。Rustを使い始めたあたりちょっと怖いけど、あと5年したら絶対このシステムになっていくわけだし、これが良い移行の機会である。

毎回思うが、バージョンを重ねるに連れてセットアップがすごく楽になっている気がする。このコンピューターにUbuntu 22.04LTSを入れたときには、自分でグラフィックボードのドライバーを何とかしないといけなかったが、それが無くなり、そしてWifiやBluetoothのドライバも特に何もしないでも入っており、ちゃんと動くようになっている。あのときの苦労はどこに言ったのだろうか…とか思うようになってしまった。それに、cmakeとかも簡単にインストール出来るし、これがまともに動くのであれば、どんどん解析だけに集中できるようなOSになってきていると感じる。昔はDebianを使っていて、そのうちに解析環境としてUbuntuを無視できないようになってきたので、Ubuntuに移ってきたのだが、そのときも同じようなことを感じた記憶がある。言うても、Debianもそれはそれで面白いとは思う。安定してるし、システムもUbuntuよりも新しい。Ubuntuって、Debianのおさがりみたいなものである。
一方で、解析環境については不安なこともある。特にシングルセルRNAシークエンスのPythonパッケージで思うことだが、これらの発展が、OS周りの発展についていっておらず、多少古いバージョンのパッケージになりつつあるように感じる。これは、言うてもシングルセルRNAでシークエンスの解析は、通常よりも難しいため、開発もそう簡単でではなからだろうとは、なんとなく想像がつく。こういうのってOSやAnacondaとかで動いているPython(ScipyとかNumpyなど)と、シングルセルRNAシークエンスで動くこれらのバージョンとに不一致に繋がってくる。OSとかベースのシステムは新しいのに、解析環境は2、3年まえのバージョンを使っているということになる。なんか、不安が拭いきれないって感じである。こういう意味では、もしかしたらScanpyよりSeuratのほうが、将来に渡っての再現性にとっては良いのかもしれないと思ってたところである。個人的には、シングルセルRNAシークエンスには、計算が早いScanpyを使いたいところなんだけど、バージョン間の違いが大きく出るのであれば、もやはそうも言ってられない。

言うてもダークモードとか、なかなか見やすいし、逆に新しくしてよかったかな、と思うようにしている。これから解析環境を整えるが、まぁ、地獄だわ。