SABCS2021二日目

日付;2021/12/08(水)

発表

二日目は朝7時から発表なので、もう朝5時くらいには起きて、準備を始めた。朝6:30にはポスターセッションの会場で準備を始めてしまった。というのも、インストラクションには朝6:45には発表の準備を済ますように、という指示が書いてあったためだ。しかしこれはオンラインで発表するためのインストラクションであり、直接の参加者への指示ではなかったので、実際のところどうすべきなのかはわからなかった。この時点でなんとなくこの学会の不安定さがわかるように思う。

実際には、朝7:00から朝7:30まで通常のポスターセッションを行い、その後、Chairpersonが各ポスターの紹介、要約、その研究に対して思うことなどを発表する、というセッションだった。そして質疑応答を会場全体で行うというものだ。途中マイクのトラブルもあり、時間がなくなってしまったこともあり、自分の発表に対してはオープンな質問はなかった。このChairpersonが、なんか理解できないようなところもあったらしいのだが、そこはスルーされてしまった。

Spotlight poster discussion sessionの会場。会場からオープンな質問があれば、そのポスターが両サイドのディスプレイに移され、中央のディスプレイに発表者が映されて質疑応答が進む。

12月の頭に、このChairpersonに、自分たちの発表の要点や重要なメッセージを説明するスライドを送っているのだが、正直に言って、これが完全に間違いだった。とはいえ、面倒なのですべてボスの言う通りにして送付しているのだが、本当にこれが悪かったと思う。お陰で、Chairpersonの発表中、もっともショボい説明になってしまっていたように思う。

どんな内容のスライドを送ったかと言うと、この発表とは直接関係のないような、「このクスリはCSCに効く!」だのなんだのということ、グダグダと文で説明したスライドだ。正直、これをChairpersonに送る前、自分は「だれが発表以外のことを知りたいのだろうか。こんなポスターに書かれていないようなことを送っても、だれがポスターの内容を理解できるのだろうか。」と思っていた。そして案の定、その通りだった。はじめは自分はポスターの内容について説明をしたスライドを作製したのだが、ボス云わく、「ポスターに書かれてあることはもう書く必要がない。それ以外の重要なメッセージを書かなくてはならない。」らしい。結果として、「ポスターに書かれていないことなんか、発表に利用しようもないし、必要もない。」ということになってしまったように思う。それになにより、他のグループは自分の発表内容をしっかり説明するようなスライドを送っているように思えた。なぜかというと、その結果がそのChairpersonの発表で使われていたためだ。それに、関連しているかもしれないが、実際のポスターと違うないようの説明用スライドを送ってしまっているので、自分たちのスライドにだけ、「疑問なのでここでディスカッションしてほしい」ということが言われていた。100点満点中、もはや50点である。

うちのボスはこういうところがある。そのボスはどうしても臨床の研究者に対してインパクトのあることを言いたいらしく、そのために、直接得られている結果から大きく飛躍するようなメッセージを送る癖がある。そしてその飛躍は、自分にとってはアクセプトできないくらい大きい。そこが徹底的かつ致命的に悪い気がする。最悪、捏造といも言える場合がある。だからこのCharipersonにも「疑問である」という言い方をされている。それに、この許容範囲外の大きな飛躍は、サイエンスには全く合わないし、サイエンスとは言えないと思う。この前週の金曜日に発表の練習みたいなことをしたのだが、そこでボスに言われたことは「企業の者が沢山きて、この薬剤の開発について色々と聞いてくるから、その企業のものが興味を持つように発表したくてはならない。毒性や実際の実験上の問題などはかなり興味を削ぐので、言うな。ビジネスライクなことをしなくてはならない。」ということを言われた。個人的に自分の意見は全く逆である。「これは基礎研究であり、サイエンスである。サイエンスである以上、毒性や実験上の課題については正しく理解してはっきり言わなくてはならない。」と考えている。それに発表しているデータが実験結果であるため、それに対する質問も当然実験上のことになるはずである。基礎実験の結果の発表を元に、だれがビジネス上の質問をするのだろうか。これは某研究所でも学んだことである。研究所が研究を止めたら、少なくとも研究所ではなくなってしまう。この齟齬は個人発表レベルでも起こり得る。聞き手を理解しない、身の程を知らないというのは、怖いことである。

写真をとってもらった。

如何せん、初めての経験だったために自分はこのSpotlight poster discussion sessionがどんなものか知らなかったし、質問はある程度予想して望んだが、練習は自分のやっている研究を短時間で無駄なく出来る限り正確に伝える、というところに焦点を置いて行った。そのため、ポスター発表自体は良くできて、in-personのポスター発表としての会話もすごく上手く行ったと思う。本当に勉強になった。

観光開始

発表が終わったが、前日はほとんど寝てなかったし、疲れ切ってその後のセッションを聞く気にもなれなかった。それに、今回は学会のブックレットの配布がなく、かつ学会のアプリも確認出来るのは、セッション名と会場名だけという本当にクソみたいに理解しにくいプログラムだった。頑張って学会のアプリを使ってみたものの、セッション名と会場しか確認できないので、どんな発表が行われているのか全くわからず、どのセッションにも興味さえわかなかった。これ以上学会に居ても集中できないという結論にいたり、せっかくなので観光に行くことに決めた。ちなみに、ここで学会のアプリがクソだと言えるかというと、3日目に通常のホームページを見ればちゃんと興味のあるセッションを見つけることができたためだ。

いうてもまだ昼だったので、リバーウォークをしっかり観てきた。自分にとってはこの学会は今年で最後なので、これは必須だと思う。しかし、体力も残っていないし、練習と乾燥のせいで喉も若干おかしいし、まだ昼だし、レストランに行ってビールを飲む気にもなれない。なので、結局サブウェイで昼食を食べた。こんなもん何処でも食べることができるが、それでいい。結局、やっぱり美味しい。何処にでもある、ということは、それだけ万人が美味しいと思っているいうことであると理解した。これは重要なことと思う。

Subway。結局こういうのが一番うまい。合計で8.02 ドル。

会場に戻るが、学会アプリがクソなので全く興味のあるセッションが見つからず。疲れもあって、集中もできず。それならばと、夜のリバーウォーク観光に出かけた。

会場で出たローストターキー。なんでこれだけなのに、あんなに腹いっぱいになるんだろうか。

やっとビールを飲めるので、店に入って食事をする。The Country Lineというバーベキューの店に入ったが、早く料理が出てきたし、そもそも美味しかったので良かった。

リバーウォークのところのBBQの店。
ソーセージ、ブリスキット、豆スープ、コールスロー、ビールはLone Star。テキサスのビールらしい。ビールは2本頼んで、合計で40.58ドル。

この日はこれで終了。疲れた。

小論文の課題

その後、ホテルに戻ってシャワーを浴び、ゆっくりしようかなぁ〜と思っていた。やっとゆっくりできる。その矢先、なんと今就職面接を受けている研究所から、小論文なるものを日本時間12月13日朝9時15分(ニューヨーク時間12月12日夜7時15分)までに提出しろ、とのメールが来る。

は????

しかも、原稿用紙4枚以内。これ、本当は当該研究所で手書きで90分以内に完成させなければならないようだ。そこをアメリカ在住ということで、このようにしてもらっているようだ。内容は当該研究所で自分が行う研究について書け、というもの。

マジか….

こんなこともあろうかと、自分のメモノートに自分ならその研究所のリソースを使ってどんな研究を行うのか書いておいたから、すんなり書けた。やっぱり準備は大切である。でもなぜかそのメモは全部英語。イキりすぎである。お陰で日本語になおして考えるのに少し時間が必要だった。

大体終えたところで、もうすでに朝2時を回っている。ぐったりだ。

というか、このご時世、研究内容を、手書きで、原稿用紙に90分で書けってのは如何なものだろうか。外人にもこれを強いるのだろうか。全く理解できない。ここの研究所は大丈夫なのだろうか。正直、就職するのが不安になってきているので、この研究内容のレスポンスがかなり悪い場合は、就職を断ってしまってもいいかなぁと本当に思っている。その場合は、今のボスにもそれを説明しなければならない。まぁ、いまのボスとしても、今の研究(この学会で発表した結果)を続ける必要があるのでそのほうが良いだろうし、おそらく歓迎されるだろう。これについてはこの面接に合格してから詳細を記そうと思う。

とりあえず、前日はほとんど寝てないし、その上この日はリバーウォークを歩きまくって疲れた上に小論文なるものの下書きまでしたので、本当にグッタリだった。