SABCS2021のアブストラクトの投稿

日付;2021/07/09(金)

いちいち日付が前後するが、これはSABCS(San Antonio Breast Cancer Symposium)2021へアブストラクトを投稿したときの感想と、その後の微妙な進捗について。

このシンポジウムは毎年12月にテキサスのサンアントニオで開催されている、乳がん全般に関する国際シンポジウムで、自分は先日アプセプトされた論文のデータの発表のために2019年に参加したことがある。臨床から基礎、診断から治療までの話が聞ける。おそらく、臨床の話はかなり貴重で勉強になるはず。最近の乳がん治療についてのトレンドを把握するためには、すごく良い学会だったと記憶している。日本からも金持ちと思われるグループが参加していた。

昨年はCOVID-19のパンデミックによりオンラインの開催だったらしい。自分としてはまさに論文の投稿中、そして改定のための実験中であり、特に目ぼしい進捗もなかったので参加はなかった。しかし、今年は少しまとまった新しい結果もあり、参加してみようという運びになった。

この学会にアブストラクトを提出するには、投稿費として50ドルも搾取される。まぁ、こういうのってまともな国際学会では普通なのかもしれない。Cancer Researchも投稿するだけで金を取られる。でも、学会のアブストラクト投稿だけで50ドルは高い。学会の参加費だけまかなえないのだろうか。ポスドクだと200ドル以上、一般参加だと800ドルくらい取られる。やっぱり高い。

しかし、一連の実験が終了して、そのデータで参加してみようか、となったのがアブストラクト投稿締め切りの1週間前だった。自分はこういう、衝動的な学会への参加などが本当に嫌いである。大抵の場合、ロクでもないことが起こる。こんなもん、1ヶ月まえにデータが出ていないならば、参加なんか無しにしたい。それにも関わらずアブストラクトを仕上げてみんなに回覧していたのだが、そのときにすごく微妙な気分になってしまった。結論を言えば、面倒くさいので行きたくない。絶対面倒な起こる可能性が高い。

その理由の一つは、もちろんCOVID-19だ。この週のNYCのCOVID-19の感染者数は確か0.8%(確か200人くらい)くらいで(これを書いている7月15日の時点ではすこし増加して1.5%くらいなっている。1週間で3倍…..)、本当に二年前と同じように過ごせていた。では一方のテキサスはというと、2000人以上(今でこれ。冬には….)いる。それもあって、ボスがVirtual参加にする的なことを言い出した。正直に言う。だったら参加したくない。個人的にオンラインの学会は、直接の会話がないことから、もはや全く無意味といっても過言ではない。単に面倒くさいだけ。オンライン学会って、研究室の自分の席に座って、一生ディスプレイを見てるわけか??邪魔くさいヤツらが周りで無駄な実験している中で???

もう一つはアブストラクトの内容だ。ドラフトには、現在得られている結果のみを書いた。自分はこのスタイルのほうが研究が把握しやすいし、結果も想像できるし、如何せん事実であり正確なので、断然良いと思っている。言うてみればこれは、結果に対するRetrospective styleである。しかし、真逆のスタイル、つまり、研究の大枠をレフェリーの興味をそそるように、今後得られるである結果にも対応するような文章にするためにザックリ包括的に書く(とこれに近いことを実際に言われた)、言うてみればProspective styleも存在すると思う。そしてボスは完全にこのProspective styleである。それだけだったらまだマシで、悪いことにそれにさらに誇張が入ってしまう。先日アクセプトされた論文でもそうだったのだが、これがどうしても好きになれない。研究において誇張なんて、後にも先にも、良いはずがないではないか。起こったことは、書いたアブストラクトがガッツリと直されて、上述のSuper Prospective Styleで返ってきた。自分が書いた文章が70%くらい残っていたので、昨年に書いた論文の第1稿よりも成長はしているらしく、その点はちょっと嬉しかったのだが、それもすぐに微妙な気分になってしまった。

採択の結果がわかるのは9月くらいらしい。採択といっても、一般演題はほとんどがポスターであり、うちらの結果も100%ポスターのはずである。個人的には結果もまぁまぁ悪くないと思っているので、良くも悪くもポスターになるだろう。それが解ったらすぐに参加登録をして飛行機を予約しなくてはならないのだが、それについても不確定要素がある。開催日が12月なので、テキサスは冬でも温暖とは言え、COVID-19がぶり返している可能性がある。そうなればボスは絶対にオンライン参加に切り替えるだろう。いちいち様子を伺う必要がある。さらに愚痴を言えば、2年前に予約した一番安いホテルが、学会公認ホテルから外されていた。なんでだ。最低金額で150ドルくらいするんだが。これが4日くらい続くといくらになるよ。半月弱暮らせる。立替とは言え、はじめは自分の財布から出ていくので気分は良いものではない。ちなみに、学会公式ホテルに泊まらなければ、学会参加費がディスカウントされない。

率直に面倒くさい。マジで面倒くさい。今年のこの学会に関しては、本当に微妙な気分である。もう安上がりにオンラインでいいんじゃあないかと思っている。正味300ドルくらいのオンラインミーティングと思えば良いのではないか。