ニューヨークで研究(生活)することの欠点

日付;2022/02/19(土)

以前ニューヨークで研究(生活)することの利点を述べたので、次に個人的に思う欠点も述べておく。


ニューヨークの欠点

NYCの欠点を簡潔に表現するならば、「危い・高い・汚い」であると思う。

危険

基本的にNYCは安全ではない。特にブロンクスでは毎週末に銃撃事件、強盗、刺殺事件が起こる。ブルックリンやクイーンズでもよく起こっている。NYCの自転車のマナーもかなり悪い。さらにコロナウイルスのパンデミックにより、結果として治安が悪化している。2022年現在では銃撃も過去の何倍かまで上がっており、今年に新しく就任したEric Adams市長も銃や犯罪への対策を立てようとしているところである。

職場の目の前の通りが封鎖されていた。

特にアジア人女性は明らかに標的らしい。先月(2022年1月)にはアジア人の40歳の女性がタイムズスクエアの駅(RかQ)での線路に押されて亡くなったし、つい最近(2022年2月)ではアジア人の35歳の女性がマンハッタン(チャイナタウン)の自分のアパートに押し入られて刺されて亡くなった。どうやら彼女は後を付けられて、そしてアパートに押し入られて刺されたらしい。犯人については人種差別になり兼ねないのでここでは書かないが、ああいう事件の犯人はマジで社会のゴミでしかない。そんなゴミに自分の人生をどうにかされないような力を身に着けなくてはならない。これは日本だろうがアメリカだろうが同じである。これもアメリカにずっと居れないかなぁと考える理由である。アジア人女性で、小柄で、特にボーっとしているヤツは攻撃される可能性が非常に高い。

あと、電車である。本当にホームレスは危険である。おそらく、上述の電車で押されて亡くなった女性の犯人はホームレスだと思う。ホームレスは100%ドラッグをやっているので、電車で見かけたら近寄ってはならない。すぐに違う車両に移動しなければならない。

NYCの地下鉄

そして最近では、マリファナが合法化されてしまっていて、2022年現在では法整備を進めているところだと思う。そして最近ではマリファナを吸っている奴らが本当に増えてきた(匂いでわかる)。現住所の近所でも頻繁に見かける。これに関して自分がヤバいなぁと思うのは、年齢である。10代の若い女性が、友人とその辺りのベンチでマリファナを吸っているときがある。マリファナはゲートウェイドラッグとして知られていると思うが、これにより麻薬の類に抵抗がなくなってしまうと、次に手を出すのが覚醒剤だろう。次のその数。街の中で普通に吸っているじゃあないか。ちゃんと合法的に売っている店もあるのだろうが、それでは違法はどのくらいだろうか。こういうことは最終的に上述のような殺人事件につながると思う。NYCでも、やっていることが食い違っている。

NYの文化、危なさ、その対処方法を知らない人間が何も気にせず生きていくことはできないのではないかと思う。そういうことを忘れてしまった、もしくは知らない無頓着な日本人もアジア人は、時々攻撃されているし、今後もターゲットなるだろう。

街がアメリカ一汚い

基本的にゴミが放置。夏場の早朝、マディソンスクエアガーデンに行ってみれば良い。ゴミの腐った匂いに満ちているし、ホームレスがゾンビのように歩き、そのゴミをあさっている姿を見ることができる。

ゴミ事情。

生活費が高すぎる

現在の家賃は、クイーンズで1ベッドルーム1リビングで1700ドルもする。マンハッタンで同じ広さのアパートを借りたら、普通に3000ドルは必要だし、スタジオタイプの部屋だって2000ドルでは足りたいだろう。だからみんなシェアルームで安く済ませている。しかし、マンハッタンの場合はシェアルームだとしても月に1200ドルとか取られるアパートもある(クイーンズであれば、場所によってはスタジオタイプで1000ドルあれば良い気がする)。一体、なにがそんなに価値があるのか。あと、マンハッタンの場合にスタジオやシェアルームで気をつけなければいけないことはもちろんノイズである。もうこれについては言うまでもない。

あと、次に高いのが食費である。自分はどうしても日本人なので、日本の物品と比較してしまうが、その場合は平均的に3倍くらいになっている気がする。あと、日本の事情と異なるのは、加工に費やした人件費が、その仕事のクオリティーが低いにも関わらず、大きく加算されることである。例えば、肉。骨を抜いただけで、肉の値段が倍くらいになる。

野菜もそう。大して新鮮ではないのに、日本の3倍から4倍と考えておけば、目安としては正解だと思う。

それに、自炊してもしなくても食費がほとんど変わらない。これはどうかと思う。では、自炊しなくても良いか、と言えばそうではない。出来合いのものをカフェテリアやスーパーなんかで頼もうものなら、一気にジャンクフードになってしまう。ジャンクフードではなかったとしても、しょっぱすぎたり、添加物が大量だったり、結局あまりにも不健康な食事になる。なので健全に食事したければ、手間とコストをかけて自炊したほうが良いのではないかと思っている。食費は高いが、幸いにもなぜかモノとサービスの値段は比較的安いので、物品は揃えやすい。

人間が利己的過ぎる

アメリカは自己主張の国である。逆に、主張なしで黙っている場合は、極端な話、それが悪事だったとしても納得したことになってしまう。選択と主張が最も重要である。これに関しては今でもよくわからないことがある。やっぱり、英語が下手なのも原因の一つと思うのだが、どうしても自己主張していると、怒っているか機嫌が悪いように思われてしまうようだ。でも、自分が不利益や被害を受けるくらいならば、怒っていると思われても自分の思い通りにやったほうが良いかなぁと思う。短期留学だし。

日本人の視点からすれば、この強い自己主張には利点と欠点を含むと思う。まず利点であるが、その自己主張がしっかりとした理屈に基づいている場合は、何かを発展させたり成功させたりするのに有効であると思う。上手とは言わないまでも、これをしっかりやっておかないと何もできないので、アメリカでは必須であると思う。このために、必要な情報を準備して、相手の出方も予想して、しっかり主張しなければならない。

しかし、これが欠点に発展する場合がとても多いと思う。昨今ではBLM(Black Lives Matter)、マスク着用義務、ワクチン接種義務に対するプロテストがそれだと思う。彼らは一体なんのために集まって、何を主張しているのだろうか。これらの主張には、ロジックのようなものは全く感じられなかった。むしろ、身勝手のみで動いているように思う。確かにBLMは人種差別も含む難しい問題だったが、被害者がこれまで行ってきたことや警察官自身や周辺の安全も含めた側面に目を向けたことは全くなかったと思う。そのクセにその主張していた人間たちは平気でアジア人へのヘイトクライムを行い、それに対しては何も思っていない。結局、BLMという機会を悪用した身勝手な行動だったと思う。そんなんなので、これからも全く改善しないだろう。むしろ、当時は警察官のやる気をそぎ、活動を制限することで治安が悪化してしまった。(これが差別という問題の難しいところだと思う。

Forest HillsでのBLMの活動。アジア人を攻撃しているのはこの人種だし。この被害者だって、過去にどんな行為をおこなってきたのだろうか。いったい、どっちが悪いのか。そしてこのプロテストに参加している者はコロナウイルスが流行っている時期にも関わらず、集団になって集まっていた。なんと利己的なことだろうか。

マスクやワクチン接種義務への反対のプロテストだって、それは結局のところ公衆衛生を乱す行為であることは間違いない。つまり、それがさらに蔓延してしまったときの不利益について想像もせず、一時の身勝手な感情のようなものだけでそんな主張を行ってしまうことである。そして先日(2022年2月18日の週)には、ワクチン接種を受けない者が解雇されることをめぐってのプロテストがあったが、そういった会社や組織を明らかに危険にさらす行為であっても連中は自分のためだけに主張してくる。NYCではもうほとんどの人間が3回目までのコロナウイルスのワクチンを打っており、そうでない社会人はもう社会には必要ないことになっている(当然、例外もある)。なので、解雇されてもほとんど社会には影響がない。そういうことを理解せずに、主張だけは一丁前に行う連中が多い。

そしてこれも欠点だと個人的には思うが、ニューヨーク社会に慣れてきて、理屈に筋さえ通っていれば他人に迷惑をかけても何をやっていいと思う連中(日本人も含む)さえ出てくる正直、これはニューヨークで活動する日本人にとってはとても厄介な性質ではないかと思う。日本で重視されるSocial Harmonyが、本当に欠落してくる。自分も昨年末(2021年12月)に受けた就職面談で「研究所なのにこんなに静かなもんなんか…..」と感じてしまった。さらに日本人がこれに陥った場合の悪いところは、仕事のクオリティーである。日本人全体で仕事のクオリティーを見た場合、その「平均値」は他国の者に比べて高い。しかし、それは他国のクオリティーにバラツキがあり、かつその平均値が低すぎるだけであり、決して日本人の個々の能力が満足するほど高い訳ではない。製薬会社の駐在の研究員を見ているとわかるだろう。はっきり言って彼らの能力は他国のそれに足者にも及ばない。それを、特にニューヨークでの生活に慣れてきた人間に対し「この人、全然仕事してないのに、一丁前にニューヨークのできるヤツみたいにイキってるやん。」と感じることが多い。

すべては主張と利己的を勘違いしていることが根本にある気がする。

スーパーのクオリティーが低い。

基本的に野菜は新鮮かどうかわからないし、パンだって賞味期限が切れているものが多いので、買うときに本当に注意しないといけない。ただし、それが普通になってくると、全く苦ではなくなるが。

いつも世話になっているスーパー。特にパンの賞味期限に注意。

日本が弱すぎることを知ってしまう。

賛否両論あるかもしれないが、個人的にニューヨーク市の行政は非常に優秀だと思う。特にそう感じるのはコロナウイルスのパンデミックに対する対策である。ロックダウン、セントラルパークでの臨時病床の設置、マスク着用義務、ワクチン接種義務、レストランの収容人数の制限、サイドウォークの席、ヘルスケアワーカーへの補償、段階的な経済活動の緩和など、すべて公衆衛生と経済の保全のためにしっかりとしたロジックで実行されていたように思う。それになにより、ニューヨークに住んでいるよくわからない人種や身勝手な自己主張しかできない連中をリードしてきた。

一方、日本は何をしてきただろう。ロックダウンについてもその目的を勘違いし、必要なときに必要な体制も整えず、ただ他国の状況を面白おかしく報道するだけ。いざ自分のことになったら何もできない。このままでは来年(2023年)の一月にもまたコロナウイルスが流行し、接客を伴う業種にだけ大きすぎる犠牲を強いるのだろう。現時点でアメリカに居るため日本の状況を正しく理解できていないかもしれないが、経済活動の制限が無駄に長引けば学術集会の類や研究活動自体に大きく影響し、科学研究のレベルをさらに下げてしまう。年金だって自分はロクに支給されないだろう。やることなすことすべてに成果が感じられない。政治家の間で傷の舐め合っているだけ。こんな行政で今後一生過ごすと思うと、ゾッとする。自分に家族がいなければ、こんな国さっさと捨てると思う。

まとめ

ニューヨークで生活するうえで、この危険なことが一番の問題だと思う。物価が高すぎることも問題だが、正直ニューヨークで生計を立てている人間はそのくらいの給与をもらっているだろうし、その対処方法だって知っているだろうから、そんなに問題なのかどうかわからない。やっぱり、自分や家族の身の安全が一番だと思う。