論文が出版される

日付;2021/08/03(火)

今日、ようやく論文が出版された。投稿から1年以上かかってしまったが、予想よりも良いジャーナルに掲載されたので良しとしようと思う。自分でも今の所は満足している。しかし、投稿するときはそれで良いと思っていても、実際にレビューを経て掲載された後に後悔した論文誌も過去にあるので、今後についてはなんとも言えない。ちなみにその論文はScientific Reportsである。Nature Communicationsに掲載されたという内容にも関わらず、Scientific Reportsについて書いてしまった….でも、消すのも勿体ないし、そのままにしておこう。

Scientific Reportsは、Nature Communicationsの下位に位置する論文誌で、Springer NatureがPlos Oneに対抗するために立ち上げたジャーナルのようなものである。そのスタイルとしては、確か「考え方や研究手法が科学的に間違っていないならばOK」みたいな感じだったと思う。それには同意する。しかし、このレビュープロセスに一つ気に食わないことがあった。なんというか最終的に妥協感がすごかった。確かRejectするかReviseするかは、ロジックはOKか、とか、実験方法はOKかとかなんとかが書いてあるチェックリストを確認して、それでOKならばReviseになっていた気がする。もう一つは、おそらくこれはジャーナルのインパクトに関係することかもしれない。この時点でもう3年以上前なので、あまり鮮明に覚えていないが、この論文についてはレビューもしっかり食らってて、投稿からアクセプトまで半年くらい費やしている。その割に合うように、ジャーナルのインパクトが毎年上がっていくならそれでいいんだけど、その出版数の多さから毎年順調に下がっている。そして、3年くらい見ていて気がついたのだが、Radiation ResearchやCancer Scienceのような専門誌に掲載される場合と比較すると、Citation数が大して上がらないように思う。タイトルは、自分で思っている以上に良いキーワードが入っているものになっているはずである。なのに、自分では微妙だろうなぁと思っている論文、これは上述した専門誌に投稿した論文だが、そっちの方がCitation数が高かったりする。もちろん、経過時間が違っていたり(言うてももう3年経ってる)、内容がカス、もしくは、ニッチすぎて誰も読まないという尤もらしい理由も大いに考えられるが、自分自身でもこれまでのキャリアの中でScientific Reportsを引用したことがあまりないことを鑑みると、おそらく、大量の論文に埋もれてしまってなかなか見つからないことと、結局、インパクトはどうあれ、そのレビュープロセスが原因で、最終的に専門誌のほうが良い論文になってしまうのではないか、とか思っている。自分でも科研費も労力もつぎ込んだ研究なので、やっぱりあまり読んでもらえない、というか、目に触れるのも難しいとかいうのはちょっと残念である。もちろん、この二点を考えているうちに、「あぁ、Radiation ResearchかCancer Scienceに投稿しといたら良かったなぁ」とか思ったのを覚えている。でも仕方ない。アメリカに来る4ヶ月前に投稿してしまったので、もしそれが専門誌への投稿だったらおそらくレビューアーからのエグい指摘に答えることが出来るほどの追加実験を行う時間はなかっただろう。今後は、ニッチな専門分野ならば迷わず専門誌に投稿しようと思う。

ということで、シンドいレビュープロセスもクリアし、晴れてNature Communicationsに自分の研究成果が載ったことは、現時点では嬉しい。他の研究者の目にとまればなお嬉しい。in vivoで薬剤のPharmacodynamicsをあれだけやったヤツもなかなかいないだろうから、悪い論文ではないはず。Nature Portfolioもアップされてたし、Scientific Repotsと比べても他の研究者の目に付きやすいと思う。自1分の業績にも、多少の箔が付くんじゃあねえだろうか。それに、これで日本で手ぶらで帰る恐れもなくなった。

いい感じ。

論文とそのURLは以下である。

Simultaneous CK2/TNIK/DYRK1 inhibition by 108600 suppresses triple negative breast cancer stem cells and chemotherapy-resistant disease,
Katsutoshi Sato, Amol A. Padgaonkar, Stacey J. Baker, Stephen C. Cosenza, Olga Rechkoblit, D. R. C. Venkata Subbaiah, Josep Domingo-Domenech, Alison Bartkowski, Elisa R. Port, Aneel K. Aggarwal, M. V. Ramana Reddy, Hanna Y. Irie, E. Premkumar Reddy.

https://www.nature.com/articles/s41467-021-24878-z

https://doi.org/10.1038/s41467-021-24878-z

Nature Portfolioは以下にアップされている。しかし、このNature Portfolio、すごく良くできたテーマのブログだと思う。すごく解り易かった。

https://cancercommunity.nature.com/posts/novel-inhibitor-of-breast-cancer-stem-cells-overcomes-chemotherapy-resistant-triple-negative-breast-cancer