PI(ボス)について思うこと(その1)

日付;2021/03/19(金)

今日のミーティングはけっこう酷かった気がする。自分の発表ではなく、別のポスドクの発表だったが、聞いていてやれやれと思った。このミーティングに参加していると、「大丈夫か…」といつも思う。

発表のド頭で、進行を止められて、「この研究の最終目的と、そのための手段について」を最初から全部言わされていた。なんて無駄な….いつもいつも帰り際に何を喋ってるんだろう。そのときに話したことを全部忘れているのだろうか。それともミーティングのときの研究に関する話と、デスクのときの研究の話は別なのだろうか。それに、かなりのプレッシャーをかけてくる。ああいう言われ方をしたら、萎縮してしまってろくに話すことはできなくなる。

ボスが自分がポスドクだったときの当時のボスに「一日が始まるときに、いつも目的は何か再考・再確認すること。」と指導を受けていたらしい。もちろん、それは正しい。適切な手段にこそ、正しい結果がついてくるのだろう。

しかし、毎日毎日、帰り際にきて、結果について説明させて、その度「こうやれ」と指示をしているのは自分ではないか?それも、もし実験が、一回でも上手くいかないようならば、その方法がとても一般的は手技であり、その原因がただのテクニカルエラー(慣れていないから)だったとしても、実験計画の変更を強要するのは自分ではないのか?そんなに言うもんだから、ポスドクはそれに従って実験をしたり、計画をしたりする。そしてその次の日、勝手に研究やその手段について再考してきてそれについて聞いてくる。その回答が、その時点のボスの再考内容と違っており、かつ、そのボスの意見と一致する回答にたどり着けない場合は、なぜ機嫌が悪くなったり、無駄に論文を調べなくてはいけなくなる?それは「目的の再確認」とは違うと思うのだが。それに、そんなに再考・再確認を毎日やっているなら、なぜ、あんな流行みたいな研究や解析にしか着目しないのだろう。その発表を聞きながら、「きっとこれも前日まで話していたから、こういう発表になったんだろうな。急な口頭試問は勘弁してほしいよな。」と思っていた。

ここ3年で何人ラボを去ったのか、なぜ他のラボはそんなに働いていなくても論文になっているのか、一度考えてみてほしい。それに、自分が直々に指示をしている現Research Associateの発表はとても満足そうに聞いていた。自分から言わせてもらったら、なぜそんなに薬剤の標的に対する結合の得意性が気になるのか(予測される機能から考えても、一つだけで良さそうな気がするが、同じ結論を得るために3つも4つも実験している。その中で、最も影響力がありそうな阻害剤により薬剤の効果を抑制できないのはすこし問題なのでは??)、p値のみでGOエンリッチメントを行ったRNA-seqの解析結果(FDR補正なし!あり得ん。これはBioinformaticianにお金を払って解析してもらったものだが、どうやらFDR補正すると、有意に発現の異なる遺伝子が見つからなかったらしい。実は同じ標的の別の薬剤を使っているので、もしかしたら高い確率で発現の異なる遺伝子がない、という結果もあながち間違いでは無い可能性もある。)を元にして、なぜ急にin vitroの細胞実験までスキップできるのか、疑問である。そもそも、発表で出した実験条件だって、正しいとは言えないようにも思えた。このRAはしゃあしゃあと喋っていたが、中身は何もなく、質問や指摘をしてもディスカッションにならないし、ボスが全部権限を握っており、言ったところで悪影響なだけだから何も言わなかった。ただし「こんな最適じゃないような条件で得られた結果を元に、もっと劇的な薬剤を使うんだ。すこし考えたほうがいいんじゃないのか?」と思っていた。

以前の投稿でも何度か書いた気がするが、以前居たポスドクも何度か「録音するぞ!!」と何度か言っていた。それに以前居たResearch Associateも、「いつも考えを変える」と言っていた。それはよく分かる。時々、実験のセットアップまで行っているのに、それを忘れて(か知らんが)、結構違う実験をやれと言ってくることがある。「再考・再確認」とは、「意見をコロコロと変える」ことなんだろうか。なんとかしてほしい。はやく、そのポスドクにもボスとバトルするくらい慣れてほしい。

いま思ってみれば、ボスにたてつくようになったのは、1年前くらいからだ。クビにならないように気をつけなくてはならないが、そうしなければ自分の意見を守れないということもある。もしかしたら推薦書なんかは書いてもらえないかも知れないが、それでいい。違うことは違う、駄目なものは駄目、先週決めたことは先週決めたと、何事も正直に行こうと思っている。

追記、2021/03/20(土);考えてみれば、今はボスはPIであってポスドクではない。ポスドクのころの教えをPIになっても引きずっているのではないだろうか。それはそれで機能していれば良いのだろうが、機能していない場合(他のラボに比べて良いジャーナルがない・にも関わらず、夜遅くまで働いている)、なんとかしないといけないのではないのか。その日の夜(2021/03/19(金))、「気付いたらもう19:00過ぎてるやん!!早く帰ろ!!」と思って周りを見るともう誰もいない。そして、もうみんな帰ってしまった他のラボの掲示板には良いジャーナルに掲載された論文や投稿中(Bioaxiv)の論文が貼り出されてる。でもうちのラボは自分以外、まだ実験している(で、業績は??)。この状況をみると、何時も複雑な気持ちになり、最終的に、気持ちが萎える。