論文の出版日が決まる

日付;2021/07/31(土)

先日Nature Communicationsにアクセプトされた論文の出版日が決まった。ここでは、アクセプトから出版までのプロセスを記録しておく。


2021/07/08(木)アクセプト

一回目の投稿から約1年後、3回の改定を経てアクセプトされた。この投稿の間、レビューアーの一人が不必要に厳しかったり、共同研究者のラボのデータで鍵なく捏造に近いデータを発見してしまった(真偽は謎のまま。念の為ににそれが関わっている一連のデータは再度チェックされているはず。それに生データはエディターに全部提出してある。)り、共同研究者のラボのデータが見つからないので再現性がないとかの理由であるデータを取り下げたり、色々あった。本当に共同研究には注意が必要である。一回目の再投稿では、マジで三ヶ月くらい無休だった。我ながらよくそんなに実験できたものだ。おかげで、本当に疲れが取れなかった。疲れがだいぶ取れてきたと気づいたのが、本当につい最近のことである。


2021/07/14(水)Nature Portfolioへの寄稿のインビテーション

Nature Publication Groupからのメールによれば、論文にかかるストーリーや今後の研究の展開などを書く、ブログのような感じのサイトらしい。自分はそんなものがあるなんて知らなかった。結局1日で原稿を仕上げて現時点ではボスが編集中である。書こうと思って考えてみたけど、これが結構難しい。他の投稿なんかもチェックしてみたけど、やっぱりみんな文才もあって、論文の内容に触れてるんだか触れてないんだかわからんように、上手いこと論文に関連する内容を書いていた。一方で、単にサマリーの延長みたいなヤツもあったので、率直にその形式を真似てかいた。というか、これが一番読者の助けになると思う。イラストなんかも推奨されていたので、薬剤とそのターゲットの関係と、個人的に一番インパクトのあった図を載せておいた。他の投稿でもそうだったが、リファレンスを10篇くらい付けるらしく、自分もそのようにした。ブログ形式とは言え、自分の論文に直結しているだけに、テキトウなことは書けないのでリファレンスを付けて説明する必要がある。そしてボス自身がこれに投稿したらいいから書けって言ってきたから書いたのに、現時点(7月31日)でまだウチのボスはどうやら手をつけてなさそうだ。


2021/07/21(水)Proofのチェック依頼

ここでも軽くアクシデントがあった。というてもそんなに大したことはない。自分の担当の実験で単位がcmであるはずのところがmmになっていたり、リファレンスとした論文にページが振られていないから直したりと、そんなもんだった。別の共同研究室の担当の結果のところでSupplemental Figureの引用の順番がすこしおかしいとかの間違い(?これは間違いにはあたらないだろう。)があったが、それは単にPublisherに伝えて終わり。難しくはなかった。しかし、この原稿のチェックの共同研究先の研究者がとりまとめをしてくれたんだけど、それが遅かった。ワーキングデイで48時間以内に提出してくれってメールに書いてあったのに、一週間もかけた(おそらく)。こっちはメールが来たその日のうちにチェックして必要な訂正をその研究者に送ったというのに。しかも、構成原稿をPublisherに提出した旨の連絡もないので、実質いつ提出してくれたのかわからなかったし。結果としてOKだったようなので良かったが。


2021/8/3(火)出版

出版日が決まったという旨の連絡が2021/07/29(木)に来た。出版日は8月3日(火)らしい。どうやらこの日のアメリカ東部時間で5:00AM(日本時間で6:00PM)まで、どんなメディアでもこの論文をオープンに発表してはいけないらしい。知らんかった…じゃあ、Preprintについてはどう考えたら良いのだろう。思いっきりその論文の内容がオープンになっているのだが。このあたりがPreprint serverやResearchgateを始めとするSNSがすこしライセンス的に微妙とみなされる理由の一つなのかもしれない。現所属の大学がプレス発表の日について打診してきているとうちのボスが言っていたので、もしかしたらその日以降にプレス発表されるのかもしれない。プレス発表については自分は全く触れていないので、詳細はよく知らない。

2021/08/04(水)、知人がプレス発表の記事を見つけて連絡をくれた。しかし、なんかNature Portfilioに書いたことがそのまんま記事になっていて、ちょっとあれだった。記事のUPLはhttps://www.genengnews.com/news/new-therapy-targets-aggressive-chemotherapy-resistant-breast-cancer/である。この記事っていつまで残るのであろうか。


こんなもんである。ウチのボスが「レビューに一年かかって、原稿のチェックは2日で終わらせろだと??どういうことだ???」と言っていたがその通りである。あと気になるのは値段である。Nature Communicationsの掲載費用は5,560ドルで、2021年7月31日の時点での為替レートで約61万円くらいになる。これまで研究をしてきて、オープンアクセス費としてRadiation Researchに科研費から40万 円 くらい払ったことがあったが、それよりも圧倒的に高額だ。Nature Communicationsのauther instractionところに「アクセプトされたら支払えよ」と書いてあるので、おそらく支払ったのだろう。さすが、アメリカのラボは勢いも能力も資本も違う。というか、なぜ40万 円 も払ったのだろうか。やっぱり、無知は良くない。当時は、オープンアクセスにでもしない限り誰にも読んでもらえないだろうなぁと思っていた。でも考えてみれば、そんな極度に専門的なジャーナルを引用するような研究者やその者が所属する研究機関は、おそらくその論文誌も購読しているだろうし、かつ、その他の分野の研究者は特に興味がない可能性もあり、オープンアクセスだったとしても読まない可能性もある。ということで結果としてオープンアクセスにしたところで最終的なCitation数に大きな差はない、とかになるのかも知れない。今では無理してオープンアクセスする必要はなかったかなぁと思っている。まぁ、その論文誌のページからいつでもダウンロードできるのは良いことではあるが、結局効果のほどはよくわからない。

とりあえず、出版日を待つとしよう。