昇給

日付;2021/08/02(月)

どうやら、アメリカのポスドクというヤツのポジションはTraineeに位置するようだ。学生に毛が生えた程度ってところと理解している。なので、給料も他の職に比べてかなり安いように思う。当然、学生に比べればとても良いが、それにしたって学生とポスドクの待遇の違いを考えればやっぱり安い気がする。学生は良くも悪くもテキトウに実験していればOKだし、特に良い論文を出さなければキャリアに影響するなんてのもない。一方ポスドクは、まず良い論文を出すことが第一に必要とされることで、そのためにはかなり頑張る必要がある。そして研究室にも依るだろうが、結局のところかなりの弱肉強食っぷりである。

因みに、のびのびとやっているヤツもいる。そういうヤツは大方の場合クズである。少なくとも自分の目にはそう見えている。そういうヤツは、自身の業績、つまり自分が第一著者になっているような論文に目立ったものがなく、そのために業績リストを見てもそいつのバックグラウンドも測れないこともでない(一体何をメインで研究しているのか解らない)ことが多く、そもそも博士課程のときに一本書いたゴミみたいなヤツしかなかったりする。

あと、たぶんだけど、このTraineeに位置するってのも気に食わないポスドクが多い気がする。それは当然で、敬意というヤツを全く感じないときも多々あるし、最初のうちは全く信用されないし、そのために提案なんか全然通らないし(ラボによる)、待遇が良い会社に直ぐに転職してしまうひとも多い。会社だと給与はその倍くらいになるし、ニューヨークで愉快に(外食して、遊びにいって….)生きていこうとしたらそのくらい必要である。

そして、先日(8/2)に給与が上がった。そう言えば以前ボスに「給与を上げるのでCVを出せ」って言われてから随分立っていたし、自分でもすっかり忘れていた。額面上、個人的にはこれまでのキャリアの中で最も高い値だったので、それなりに嬉しかった。

結構高いと感じたので過去の金額を見てみると、結構ゾッとしてしまった。なんと、入って1年目なんて、NIHの規定するポスドクの給与(年間約53,000ドル)より安いじゃあないか。最初の二年はJ1ビザ所有者は連邦税が免除される(ちょっと定かじゃあないけど、おそらく市税もそう。バカ正直にはらってしまった。大損だった。Tax treatyを使おうとするとForm 1040NRを提出する必要があり、それを提出すると「日本から給与を得ている」とみなされるようで、かなりガッツリと税金を取られることに昨年気がついた。大損….知らないことは恐ろしい….)ので、それでもいい感じに生活できたりする。しかし、二年後に連邦税と市税が取られだして、その金額に愕然とする。そしてその2年後、一気に10,000ドル上がって、NIHの規定より高くなり、そしてこの日、更に10,000ドル上がった。

しかし、嬉しいのも日本での平均給与と比較したときだけで、アメリカ、特にニューヨークでは高くない。税金を考えると、最も損をする層のちょっとだけ上に位置するくらいである。それに当然、税金を大量に引かれるので、結果として月に150ドルくらい上がるか上がらないかというところである。生活は以前としてギリギリだろう。

でも、給与が上がることは良いことだし、論文も形としては自分でもなかなかと言える物を残している。これでアメリカでの活動も失敗ではないと思う。