新しい研究所での新人研修がやっと終わった

日付;2022/05/20(金)

2022年5月9日(月)から某研究所での活動がスタートした。そして5月20日(金)、やっと新人研修が終了したので、その2週間くらいの間に何が起こったのか、何を考えたのかを記録しようと思う。きっと、よくわからないが、何かの役に立つだろうと思う。

オフィス(居室)での私語は禁止されているらしい。

ここは研究所である。正確に言えば、例えば、国立研究開発法人とか、そういった研究所に準ずるような研究所であり、おそらく民間企業に分類せざるを得ないような研究所であるが、とにかくやっていることの半分が基礎研究である。

研究活動で最も重要な事の一つに、その研究テーマや課題について自由に議論(ディスカッション)するということがあると思う。自分でも自由なディスカッションは明らかに研究の進展に必要であると感じているし、これに異論を唱える研究者はまず居ないだろうと思う。このディスカッションには、実際の実験で使っている試薬について教えてもらったり、実験方法自体であったり、実験以外でも例えば試薬やパソコンの購入方法、研究室のルールについて話たりとか、運営に関わることだって含まれていると思う。とにかく、広義的にはコミュニケーション全般がディスカッションと捉えることさえできると思う。

しかしながら、なんと誰もしゃべっていない!ここは研究やってんだよな??マジにマジなのか??昼食だって黙って自分のデスクで各自食べているだけだし、それで美味いのかね???

着任して一週間以上もたってようやく知ったのだが、どうやら研究室での私語が原則禁止されているようだ。コロナウイルスのパンデミックに由来するらしい。しかし、上述の通り、自由なフォーマットでのディスカッションっていうのは研究活動上なくてはならない。それがほぼない。食事にしたって、隣り合っているにも関わらず黙ったまま、ただ黙々と食事している。食事のときだってコミュニケーションをとるチャンスだろうと思うし、もしそれを取っ払ってしまったら、せっかくの貴重な時間が無駄になると考えることさえできる。いつも通りに喋ろうものなら、それはそれは無茶苦茶目立ってしまう。さすがに来て初っ端からそういった意味で目立つのは、良くないような気がする。例えば出る杭は打たれるだとか、日本人の大好きなソーシャルハーモニーを著しく損なう行為な気がする。なのでここ二週間、すごく小さな声でしゃべるようになった。

川崎市の5月20日の時点のコロナウイルス感染者数は366人らしい。症状があって、ヤバいと感じて受診しているような人間が366人いるっていう意味なんだろう。言うても、陽性率が全く分からないし、検査数も当然わからないので、その数が統計的に信頼できるのかどうかも怪しいが、人口147万人くらい居る都市でたったの300人である。こうなってくると、盲目的に良くわからない対策をその効果のほども良くわからないのに延々と実施しているように見える。無駄なんだよ。無駄無駄無駄……

自分は職場まで電車とバスを乗り継いで出勤しているが、駅での人口の密集を考えたら研究室内で原則私語禁止にすることにどれだけの効果があるのか分かったのもではない。そういった精神論に付き合うのは本当に嫌だ。何が嫌だって、全く理にかなっていないからだ。そんなことで研究活動の効率を捨て去るのは、良い研究成果や良い業績を残すために必要なことは何なのか、本当に真剣に考えていない証拠とも言える気がする。日本らしいといえばそうなのだが、こんなことを本気で続けているならば20年や30年後に観光でしか金を稼げない国になってしまうのだろう。そして国際社会から日本人は今よりももっとナメられるだろう。日本社会には本当に目覚めてほしいものである。まぁ、でも日本という国はきっと心の底では廃退を望んでいるのだろうから、その目的に向かって進んでいるという意味では正解とも言える。

この新人研修は必要なのか??

着任するとすぐに新人の研修が始まった。それは主にマウスの飼育に関する研修である。それはわかる。すげぇ良くわかる。自分はマウスを主に使って実験するだろうからな。でも、普段やることのない商用のマウスの繁殖、管理、Germ Freeマウスの滅菌についてを事細かに実習まで二週間もやらされるのはすごく時間の無駄だったと思う。挙句に1週目に昼1時から5時までがっつりZoomのオンライン講習を受けさせられた。これって、今実習でまさにやっている内容なので、このZoom講習は本当に無駄だった。被っているという意味で。そんなことを終日やらされるものだから、結局、一日、そして2週間何も出来なかったように思う。この2週間で他の事を随分とやれたと思う。

それらの業務はその研究施設の中枢の業務なので、必要ではあるだろう。しかし、正社員としての採用ではあるが、パーマネントで雇われたわけではないので(しかし、任期は特に決まっていないので、おそらくパーマネントみないなもの。ただし、倫理違反したり、会社が傾いたりしたらクビを切られるポジション。これは面接のときに確認したので、そうだと思う。)、はっきり言って割に合わない講習だったように感じている。

どうやら、そこの理事長やらの方針らしい。でも考えてみてほしい。おそらく、何かよっぽどのことでもない限り、そんな場所には入らないし、そういう素人には任すことができないような重要な業務であり、従って自分等素人がその業務に携わることはまずない。それなのに、2週間がっつり実習させられた。今後やらないのに。今後やることだけでいいんだよ。まずは。

理事長の方針もわからんではない。ただし、昨今の研究の状況を考えてからそういうことを実施してほしいものだ。言うても限られた人数でやっている研究所なので、そうなるのも仕方がないという思いも半分はある。それに実習してくれた人らは本当にいい人たちだった。それについては2週間、いろいろなことを教えてくれて本当にありがとう。またお世話になったらよろしく。実習のこと全部忘れているだろうけど。

それに一番重要なことをここで言ってやる。研究で一番重要なのは、実際の実験や解析を含む研究全般で研究不正行為をやらないということである。知らないならノートにでもバッチリ書いておけ。この研究所では、一丁前に「研究不正行為はやるな」というサインをさせておきながら、その講義や講習やレクチャーが全くなかった。これは全く良くないと思う。この研究所は、研究不正行為をしないだとかということよりもマウスの飼育のほうが重要らしい。自分が研究の理事長なら、何よりも先に研究不正行為についての講習をしっかりやるけどな。

老舗的な時間とお金の使い方。

2週目の月曜日に、その研究所の70周年ということで、理事長らによる記念講演というのが開催された。とても無駄な時間だった。これまでの歴史を聞かされても、そんなこと知ったことではない。少なくともその時点ではそう思った。初任者であるにも関わらず、慣れない実習(作業)の疲れにより初っ端から爆睡した。理事長やその周りの古株様、ごめん。あの講演、意味ねぇんで寝ちまったわ。

その後、記念品が渡される。「祝 70周年」的な焼き印が入ったどら焼きだった。

どら焼きすごく美味しかったです。

ミーティングはZoomのチャットで。

ちょっとだけ上述したが、1週目の土曜日、休日にも関わらずZoomによるオンラインの講習に参加させられた。その時点で実習をしている内容そのままだったので、正直これは時間の無駄だったかと思う。

しかし、衝撃を受けたのはそこではない。この講習はZoomで参加だったので、発表しているところを家で聴いていたのだが、そのときの質問が、なんとZoomのチャットで行われていた。みんな家かどっかでパソコンの画面を見ているにも関わらずだ。これについては本当に理解できなかった。この講習には別の会社や研究機関の者も参加していたのだが、みんなもれなくそのようにしていた。発表が終わったら。「なにか質問はありますか??」と議長から言われて、そこからZoomのチャットで質問。みんな家にいるのに。

そして、その次の火曜日、いくつかの研究室が集まっての、定期ミーティング程度のちょっとした研究進捗状況の報告会があったのだが、そこも衝撃的だった。なんと、発表者はパソコンの準備されれた部屋に行ってZoomを使って発表し、参加者は自分のデスクでZoomで画面共有でスライドを見るという方式だった。そして質疑応答はZoomのチャット機能で。なんだそれ。もう直接しゃべってくれ。

いくらオフィスといか居室内で原則私語禁止だからとは言え、それはちょっとクレイジーなのではないだろうか。それによってどのような効果があるのだろうか。コロナウイルスが流行りだして3年くらいの間、ずっとそんな状態で研究をやってきたのだろうか。

幸い、次の5月31日のミーティングはようやく対面式になったらしい。良かった。Zoomのちゃっと機能を使って質問するなんてのは、居室での原則私語禁止と同じくらい無駄な気がする。

発注がよくわからん。

着任して2週目が過ぎたにも関わらず、2022年5月20日の時点で自分のデスクに会社のパソコンがない。一方、私物のパソコンを会社で使うのは、やっぱり良くないらしい。そんなんなので、現時点で会社のイントラネットにもプリンタにも接続できておらず、来週からの実験に多少なりとも支障をきたす可能性がある。自分は実験手順や何かしらの表をプリントアウトして実験をしているためだ。どんな分野でもそういう人は多いと思う。

まず、これに関して自分の意見を言わせてもらうと、私物のパソコンを繋いではいけないならば、このご時世ある程度のスペックのパソコンで事務仕事はできるので、買っておけ。わかるだろ。

とは言え、来て三日目には希望のパソコンを上司に伝えることができた。それで稟議(Googleによれば、起案書や立案書ともいうらしい。)は通ったと言われていたので、「これで発注まで回るんだな。」とか思っていたのだが、どうやらそうではなかったらしい。自分で発注しなければならなかったのだ。それで上司に「発注していないのか?」的なことを言われて発覚した。

というか、あのめちゃくちゃ静かな原則私語禁止の、みんなシレっとしている研究室で、誰も教えてくれないんだからそんなもと知るわけないじゃあないか。それで帰り際になって必死で発注をしようとするが、今度はそういった物品の発注のプロトコールや取り決め的なもののかなりフワッとしている体たらくだった。

聞いたところによると、「わたしはいつも立て替え払いで買ってるよ。」だそうだ。そんなざっくりでいいのか??

個人的には、職場の所有物になるものに関して少しでも自分の金から買ったりするのは、NGである。今後何が起こるとも限らないので、職場の所有物ならば初めから職場の金を出すべきである。自分の財布から支出するのが、研究のコンプライアンス上すごくリスキーなのは研究者なら知っていそうなものである。また、そんな会社なので、経理なんかもすごくフワッとしている。研究所なんだからパソコンだって頻繁に買うだろう。だからその手順に則ってサクっとやってほしい。結局マウスコンピューターに連絡をとってその旨を伝えて、稟議書の通りの仕様のコンピューターの見積書を作ってもらい、同時に発注書も送ってもらって、5月20日の夕方にやっと発注するに至った。

それにどうやら、研究試薬の発注もなんだかフワッとしているようだ。個人的にはこういうことってガチガチにコンプライアンス対策した方法のほうが後で楽な気がするのだが。こういうご時世だし。自分の身は自分で守れってことなんだろう。

FCMがかなりテキトウ。

上記のこのは全部自分の愚痴みないな物であり、長い間の研究所の習わしなので、大きな問題ではない。しかし、これから述べることは潜在的に非常にヤバい問題である。

自分が所属する研究室はフローサイトメーターが肝になっている。これで樹立したモデルのQCをやって、その上で実際の解析に使っている。もちろん、このQCの結果は、必要であるならば論文にも載せるだろう。それにも関わらず、そのフローサイトメーターの使い方があまり良くなかったと思う。

なんと、実験毎に適切にCompensationをやっていないらしい。そして一度設定したCompensationはそのままずっと使い続けているらしい。その理由を聞いてみたところ「経時の変化が見れないから」だそうだ。

ちょっとまて。なんかおかしくないか?

「ちょっとずれていたらその検出器から少しSpill-overを引く」だと??

それって、その時点で経時の変化は正しく見れていないのではないか???

これについては、実験の時に上司にいって、Compensationの手順とその後の実験の手順を示して、Ultra CompBeadsとAuto-compensationを使わせてもうらうことに使用と思う。これは少し不味い。

まとめ

何はともあれ、めちゃくちゃシンドかった研修が終わったので来週から実際の実験に移行していくと思う。とりあえず研究所や研究室の様子みつつ、原則私語禁止とは言え必要な質問はガッツリとしながら、探りながら上手いことやることにする。

上手いことやろうと思う。