SABCS2021のクオリティーは低かった

日付;2021/12/10(金)

SABCS(San Antonio Breast Cancer Symposium)は、たぶんだが、世界一大きな乳がんの学会である。2020年はコロナウイルスのパンデミックにより、オンラインのみの開催であり(確か)、そして2021年がそのパンデミック後のオンラインと対面の両方での開催となった。

自分は2019年に一度参加しており、その時はいろいろと勉強になったたし、それに、もう少しサンアントニオを楽しんでもいいかなぁという気がしていた。丁度この年にこの学会に結果を投稿することになった。そしてSABCS2021に参加してきたのだが、このSABCS2021は本当に酷いものだった。こんなレベルが世界一ならば、もう弐度と参加しなくていい。時間と金の無駄である。

まず、ポスター発表のクオリティーが低すぎる。写真にある通り、パネルがスカスカであり、実際に参加している人もスカスカである。そしてオンラインと対面のハイブリッドとか言ってるけど、結局ほとんどの人がオンラインのようだった。そして、対面でほんど話せないのをいいことに、オンラインで登録するだけやって、あとは放置しているように思えた。ポスターを張っていても、内容がない。ほとんどの研究が結論を書いていない。彼らは本当にこんなので良いと思っているのだろうか。強いて言うならスポットライトディスカッションは聞く価値がある。スポットライトポスターだけ聞けばOKだった。

ナメるな。 P3-07-09

こんなレベルならば、全部オンラインで良い。学会として集まる意味は全くない。

オーラルセッションはほとんどがADCについての話であり、大体のトレンドは把握することができた。しかし、発表を聞いていると随所にASCOで発表したということが示されており、このSABCS2021はASCOの二番煎じになっていることが理解できた。トレンドを理解できたとか言っても、その内容が面白い訳でもない。どちらかといえば、面白くない。まぁこれは臨床研究だから仕方ない。

学会全体として最悪だったのが、対面で参加しているにも関わらず学会のブックレットを配らないものだから、On-timeでどんなセッションがやっているのか、把握するのが超難しかった。あの300ページ以上あるPDFを印刷して持ってきている者なんか、果たして居るのだろうか。自分は学会の携帯アプリを使ったが、これが最悪で、使い勝手と内容がPDF以下だった。アプリなのに、セッション名と発表のタイトルした確認できず、この携帯アプリを使っている以上一体どんな内容の発表なのかセッション会場に行って聞いてみないとわからないという体たらくだった。後にいちいちパソコンでPDFを見ながらセッションや発表を探す必要があることに気づいたが、もう時すでに遅しだった。自分はTNBCの基礎をやっているわけだが、このTNBCのセッションだって一つくらいしかなかったし、それはすでに終わっていた。

結局今回のSABCS2021では、臨床のトレンドを把握することはできたが、特に目新しい基礎研究を見つけることはできなかった。というか、ポスター発表の内容のクオリティーが低すぎて、全く参考にならなかった。SABCSの事務所や運営は、今回の学会の結果を次回にちゃんと繁栄したほうが良いと思う。そうでないと、クオリティーが低いままになってしまう。対面の参加者もほとんどいないので席はガラガラだし、学会感がほとんどない。もう学会に参加している意味がほとんどなくなっているように感じた。学会もこうなってしまったら、もうどんな学会にも参加する必要はない。論文がダウンロードできる以上、論文のアブストラクトをインターネットで読みまくったほうがよっぽど勉強になる。今回のSABCSはそういうレベルだった。

結論として、SABCS2021は、サンアントニオ旅行としては価値があったが、世界最大級の学会としての学術的価値は非常に低いものだった。