論文のレビュー依頼を受けた(2022年その1)

日付;2022/02/24(木)

2月21日はプレジデントデイで休日であり、その週はアメリカでは3連休となった。そして、この週の2月14日(月)に2022年1回目のレビューアーの依頼を受けた。しかし、レビューアーの依頼を受けたことをすっかり忘れており、なんと3連休の最後の夕方になってようやく思い出した。レビューの締め切りは2月28日(月)である。それにも関わらず、その週はめちゃくちゃ忙しいことが予想される。これはやばい。やらないと。

今回受けたレビューは、インパクトファクターが4以上もある論文誌で、これまで受けた論文誌の中で最もインパクトファクターが高い。なので、こちらとしてもしっかりレビューしようと思う。

蓋を開けてみれば、なんという論文だろうか。こいつらマジなのか。あまりにも酷い。何が酷いかと言いうと、著者らはある細胞が放射線に抵抗性だったと言っているが、データを見る限り全然抵抗性じゃない。というか、むしろ明らかに感受性になっている結果も載っている。ウェスタンブロットの結果にローディングコントロールがなく、画像のコントラストも、もはや二値化画像くらいに上がっている。RNA-seqの結果も何をやっているのかよくわからないし、たぶん著者らもあまり理解していない。さらにがん細胞でPD-1やCTLA-4がもはやたくさん発現しているような結果を書いている。通常PD-1やCTLA-4はT細胞のような免疫細胞で発現している分子であり、がん細胞ではほとんど発現していないと思う(発現していることを示す論文もある。)。これらががん細胞で発現しているならば、もっとしっかりした証拠を示すべきだろうと思う。

実験の空き時間にボスの目を盗んでこの論文のレビューをしていたが、なんだかこれ以上考えるのがバカらしくなってきて、レビューの体裁を整えてその結果をエディターまで送ってしまった。その直後、エディターから「この論文はリジェクトしました」という旨のメールが届く。こんなに一瞬でリジェクトされるのは珍しいんじゃあないだろうか。というか、そんなにあっさりリジェクトされるということは、もうエディターの中でリジェクト確定されてたってことなんで、それだったらすぐにリジェクトしたらいいんじゃあないのか?著者らだって結果を待つ必要ないし、うちらだって時間を取られずに済むじゃあないか。

まぁ、いい。とりあえず、2022年一回目のレビューはこれで終了。トラッキングレコードとしてレビューについてPublonsに送っておいた。