日本の体質

日付;2021/08/19(木)

ほんと、日本の行政の悪いところがたくさんでていると思う。そのなかでも、自分で思う最も悪い例の典型がネットのニュースに乗っていた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/576a336878ef8f24d80a57e4273b4a21907ed78d?page=1

Yahooニュース(というかAREAdotとかいうが元にみえるが)から。

”国立国際医療研究センターの大曲貴夫国際感染症センター長の「感染リスクが高いにもかかわらず、五輪競技場の周辺や沿道では、大勢の人が集まり、応援する姿が見られた。いま一度、屋外であっても密集・密接することは、感染リスクが高いことを啓発する必要がある」という指摘に対し、小池百合子東京都知事が「交通需要マネジメントも人流抑制に役立った。数字にも表れている。テレワークの推進も図った。ライブサイトも見直し、ステイホームで応援していただいたからこそ、視聴率も上がった」と強調した上で、「エピソードベースではなくエビデンスベースで語ることが重要だ」…. 「エピソードベースではなくエビデンスベースで語ることが重要だ」”と言ったらしい。「人流抑制に役立った、推進した、見直した」というフレーズを使っているようだ。そして、どのくらい視聴率が上がったか知らないが、おそらくさほど上がってもいないだろうにも関わらず「視聴率も上がった」というフレーズを使っている。

まず、前半のフレーズはエビデンスベースではなく、ストーリーベースの文章である。また、エビデンスベースというのであれば、前半にどのくらい上がったのかなどを示し、その理由か因果関係について明言すべきだろう。次にようやく結論として、役立った、というフレーズを使う必要がある、

次の例としては、菅義偉総理の日々の発言である。すなわち、断定せず、どのようにでも拡大解釈できるようにボンヤリと結論づける、というものである。このスタイルは、日々のニュースにも随所にみられる。例えば、「医療崩壊しつつある」とか「医療を受けられない可能性がある」などがそれに当たると思う。現状を正しく描写するなら「医療崩壊している」とか「医療をまともに受けることができない」である。これは本当に最悪な状況である。現実をまともに評価できないのだから、コロナウイルス感染への対策や、ワクチンの接種計画が機能するように立てることができないに決まっている。

このスタイル、科研費の報告書や、研究機関の進捗状況の報告書でも採られている。科研費は年度毎に結果の進捗について報告する必要があるが、そこでは全く成果が出ておらず、当初の目標に到底達していないにも関わらず、予定より進捗している、との自己評価をしている研究がかなりの数ある。現状を把握できておらず、次に何をすべきなのか考えることができない、という意味においては、今の日本の行政と同じような雰囲気を感じる。この状況の考えられる理由としては、結局、日本という国では、研究やガバナンスのマネごとしかやっていないのかも知れない。政治でも研究でも、日本の行政の根本をなす性質が現れているように思う。それでは日本が筆頭の論文のシェアは下がるばかりだし(https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210817_n01/)、コロナウイルス感染症に対する医療提供が上手くいくはずがない。

今回のコロナウイルスへの対処や菅義偉首相や関係する大臣どもの要領を得ない振る舞いをアメリカから見ていて、日本人や日本政府を含む日本社会の体質や性質のようなものを改めて知った気がする。物事の因果関係を理解し、一体何が必要なのか、それをやってしまったらどうなるのか、想像することさえできないのだろう。そうだとしたら、行政のどんな事業も、うまく行かないだろう。おそらく、本当に頭脳明晰で行動力のある者の餌食になるのが関の山だろう。