アカデミックの研究員を辞めた

日付;2023/11/19(日)

2023年12月末で現所属を辞職し、新しい職場へ移る。その理由などを以下に記そうと思う。この研究所は、一般的な観点からは、みんな非常にいい人たちで、仕事への取り組み方、労働時間等々は非常にクリーンであり、否の打ちどころがあまりない。むしろ、自分の方がイレギュラーだったと思う。企業文化に合う人間や技術員には非常に良い企業であると思う。また、2023年から新しい所長に変わった。この新所長、基礎医学研究の重要性を隅から隅まで知り尽くしている超強力な先生で、おそらく、自身も研究所の体質や企業文化を変えようとしているので、今後はこの研究所の状況も大きく変わるのではないかと思っている。

研究室について

アメリカから帰国し日本での研究活動を再開するにあたり、川崎市殿町にある実験動物に関する某研究所を選んだ。その理由は、ヒト化マウスを用いてヒトの腫瘍内微小環境の再構築を行うというテーマがアメリカで行ってきた研究テーマの一部、それ以前の研究テーマの多くの部分と重なっていたためだ。給料はかなり安かったが、ヒト化マウスという良いツールを扱え、かつ、専門であるがんの生物学と近く、これまでの知識を使えるだろうということもあり、悩んだ結果この研究室に行くことにした。

正直に言うと、アメリカに居る時点でいくつか嫌な予感があった。まずは1つ目としては、いくら腫瘍自体の研究に携わることになるとはいえ、ここは「マウスの開発」を行っている研究所であることだ。この予感については、当時どうしても払拭できなかったことを覚えている。採用のための面談のときに「これまで行っていることと違うが大丈夫か?」と聞かれたが、そのときはそこで行うことになる研究テーマが自分の専門とするテーマと大きく違っていなかったので、その文言通りならば大丈夫だと本気で思っていた。一応、自分はマウスの開発なんかできないことは伝えておいた。

2つ目は給与が予想以上に低いことである。忘れては行けないことが、給与額は信頼性と正の相関があるということである。しかし、自分がやりたいことがある場合はその限りではないということだ。そして自分はアメリカに居るときは後者を選んだということになる。しかしながら、日本ではアカデミックの研究者は経済に関与していないから給与が安くて当然と思われている節があり、これが自他(自分と給与を支払う側)ともに認めているという雰囲気がある。一応言っておくが、この考えは組織の発展を促進しないか、むしろ後退させる考えなので、注意が必要だと個人的には考えている。自分は、自分が成長すれば良いと思っているので、それが達成されている限り、国とか会社とか、どうでも良い。だから、やりたいことが第一選択である。それが達成されている限り、必須な条件であるが給与は次でいいと思う。逆に給与をもらってても業績がなければ非常に不味いことになる。

辞職を選んだ理由

ということで、このままでは目的が達成できないと判断した。その状態と理由を順次述べる。

理由1.研究が全く進まなかった

これが辞職の主な理由である。この研究所に居たら、まず間違いなく研究業績を定常的に出すことができず、5年後、10年後に詰むことが簡単に想像できた。この研究所は、業績などをうるさく言う研究所ではない(しかし、これが悪影響しているようにも見える。)ので、この研究所にずっと居座れば、定年まで活動することができただろう。しかし、そんな多能性も何も無くなるような活動を続けることを受諾できるはずがない。この研究室にいるヒトたちは、このままずっと他人の研究を指を加えて傍からぼーっとして見ているのが楽しいのだろうか。とにかく、研究が非効率であり、進捗が遅く、論文なんて絶対に書けない。2023年11月時点で新所長に非常に強力な先生が据え置かれたので、今後は期待できるかもしれない。しかし、やはり企業文化が邪魔をして、成果になるのは10年後とかになるのではないだろうかと想像している。具体的な状況は以下である。

理由1.1.コミュニケーションが無かった

過去にこの件についてポストしているので、それを読んでもらえば当時の様子が現時点でのバイアスなしに知ることができると思う。

まず1つ目は、コミュニケーションの無さである。当時、コロナウイルスの規制がほとんど解けてきた時期だったと思うが、しかしながらその研究所では規制の真っ最中であった。どういうことをしていたかというと、なんと「私語禁止」という驚きの体制であった。これは非常に酷いもので、昼食のときも、まるで誰かの葬儀でも隣でやってるんじゃあないだろうかと思うくらい静かに何かをモソモソと食べている。なんだったら通夜のほうがマシなくらいである。異常の一言に尽きる。その静かさといえば、買ったノートパソコンのファンの音のほうが大きいくらいである。驚くことに、ここは研究所である。研究は、コミュニケーションなしではほぼ成り立たない。実際、毒にも薬にもならないゴミ同然の研究を明らかに非効率な手段で行っいるし、この研究室の共同研究だって在ってないようなもの、つまり、名前を借りているだけで実質共同研究になっていないように見える。2023年11月末の時点で、これは続いているように見える。例外のラボも2つある(そのうち1つは研究を行っていない。というか、あれが研究というのであれば、日本の基礎研究は終わりである。)が、基本的に研究に対する積極性の無さ、無関心、コミュニケーションの無さが、2023年時この研究所の文化なのだろう(2023年4月に新所長になったので、今後は変わるかもしれない。)。文化である以上、そういった研究室のPIや、後述するが、この研究所の理事達が退職しない限り、それは続くだろう。ちなみに、現在では私語禁止の規則はないと思うが、研究の話であっても話している人間はほとんどいない。一体、どうなっているのだろうか。本当に研究をしているのだろうか。

逆に言えば、研究におけるコミュニケーションの重要性を学ぶことができた。ある意味、貴重な体験だった。

というか、正直、自分はいじめられていたんじゃあないかと本気で思っている。表には出してなかったようだけど、存在が嫌だったんだろうね。

理由1.2.ミーティングでの発表や報告が冗談かと思うほど下手だった

2つ目はミーティングでの研究発表の下手さである。これも過去のポストに書いているので、今のバイアスの少ない過去のポストを見てもらえばよい。これについては、時間の無駄過ぎてシンプルにうんざりしていた。やっていることは、A4の紙にまるでメモのような実験条件を書き、それにあまりにも中途半端なデータを載せ、発表時には下を向いてそれを読むということである。このスタイルは全く意味のない、むしろ時間の無駄になってしまう発表方法である。大学の時に「読んだら誰にも伝わらないから止めろ。発表スライドを説明しろ。」と習わなかったのだろうか。それに、発表時に研究や実験の目的を最初に言わないので、全くと言っていいほどその研究が理解できない。研究発表で目的を言わない危なさを学ぶことができた。また、全員日本人なのに無駄に資料が英語だったり、それなのに日本語でその資料を読んだりする。一体、誰が対象なのだろうか。そして「そこに載っている」実験も非常に効率が悪いものであった。例えば、前回と同じ条件の実験をしてまた失敗してみたり、目的のわからない実験条件をたくさん加えて実験したりと、そういうものが非常に多い。研究というものは過去のデータから必ず発展させなければならない。同じ実験をするのは、仮説通りの実験データが出た場合のリピートの実験だけである。特に上手くいかなかったといって同じ実験を繰り返したりするのは、はっきり言って良くない。そういうことがそれが多すぎる。理由1.5.理由3.に書いたが、これは無駄で効率が悪い。

理由1.3.業績を出すためには20年必要とか本気で言っていた

ここに来た時、そして退職の意思を伝えたときの2回、「ここでやっている研究は時間がかかる。20年でヒットがでればそれでよい。」ということを言われた。退職を伝えて一ヶ月後の新所長との面談の際、「こんな(20年)暇は俺の人生にない。」ということを自分から言っているが、それを含めればこの話をするのは、少なくとも、合計で3回になる。じゃあ、ジャクソンラボラトリーやチャールズリバーはどうだろうか。絶対にそんなことは言わないと思う。だから世界中ではNSGマウスが一般的なのである。NOGマウスなんて10年以上がんの生物学に関わる研究をやっていて聞いたことがないし、多くの人は実際のところ知らない。そして、社会的に活動できる年齢はせいぜい65歳まである。30歳くらいで博士課程を卒業し、35歳でポスドクを終えるとしよう。あと30年しかないのに、業績がでるまで20年かけてどうするのだろうか。ここが、この研究所が圧倒的に勝てない理由である。そして、おそらく「良い物を作れば有能な誰かが見つけてくれて、それを使ってくれる」という、童貞の大学1年生もしくはニートみたいな考えを持っている。現時点では、「良い物を作れば有能な他国の者にパクられ先を越される。」である。だから、良い物であるならば、必ず自分から動く必要がある。にも関わらず、ほんとうにびっくりしたのが、2023年の日本癌学会でブースを出していない。ジャクソンラボラトリーは出しているのに。最近では台湾やタイなどが、少し前の中国みたいに積極的になってきている。業績が出るまでに20年必要とか言っていると、いずれこういった国に出し抜かれるに決まってる。それに、一般的に考えれば20年もかけたら時代が丸っきり変わってしまう。つまり、20年前の研究を20年経ってもやっていることになる。

これが、この研究所が外界から如何に隔離された環境かわかるところである。はっきり言っておこう。Publish or Perishである。これは今の世代のほうが昔より明確にその通りである。さらに今は昔よりも一層それが必要とされる。昔のPublish or Perishは、もはや学生やポスドクに適用されるものである。本当に研究で発展しようとすると、それに加えてハイインパクトジャーナルにPublishすることで社会に働きかける必要がある。少なくとも自分が所属した研究室は、それが出来ないと確信している。Will be socially perishedな状態だった。しかしながら、悪いことにこの研究所は公益財団法人である。すなわち超頑丈な泥舟である。何もできない100人程度が動かずに乗っているだけなら大丈夫であろう。しかし、日本を取り囲む頑丈な原子力潜水艦に攻撃されてしまえば一撃で沈没する。そして沈没を免れるために進出をせず迎合して生きている。自分にはそのように見えた。ずっとここにいたら…と思うとぞっとしてしまった。

理由1.4.研究所や研究室がほしかったのは技術員だった

最近になりよく理解できた事がある。この研究所は、事業所名にこそ「研究所」と付いているが、実質的に行っていることがCRO(Contract Research Organization; 医薬品開発業務受託機関)である。マウスのロイヤリティーに加えて、そのCRO業務こそが収益元であることが、出資してくれた企業に対して収支、業績、やっていることを報告する会(維持会と呼ばれていた)での発表から読み取ること(と思う。数字に関しては素人なので、普段から見ていることに影響を受けた解釈かもしれない。)ができた。そうである以上、研究する必要がないと今では理解している。従って、この研究所は研究に価値を見出しておらず、必要な人材は研究員ではなく技術員である。論文を書いたことがあっても社会的なインパクトもまるで期待できない、インパクトファクターもそれはそれは低い論文だらけである。価値を見出していないのだから当然である。そう理解することで、今までの振る舞いについて説明できることが多い。そして、50年以上にわたりそのような文化を築いており、気がついてみればヒトよりもマウスが大事みたいなところがある。おそらく、何か自然災害などで避難しなくてはならない場合であっても、平気でマウスを優先するだろう。着任したときに色々と研修を受けた(もはやこれがこの研究所は技術員のみを求めているサインだったかもしれない。当時から違和感はあった)が、そうは言っても、あんな作業や防護方法ではアレルギーだって出るし、とある部署が行っている消毒では健康被害も出そうな感じがしていた。でも、色々なことを改善したことがない(発展させるつもりがほとんどないようにも見える)、改善する方法も知らない技術員しかいないのでそれでもよく、従って、こうしたほうが良いのでは?なんて意見は全く聞く耳をもたない。

理由1.5.研究と言いつつ研究になっていない

おそらく、研究者という生き物は、研究とは自分や世の中にとってどのような行為であるのかを各々理解し、そのために各々が目的を設定し、その達成を対価として活動をしていると思う。だから実際の経済に直接関与できない、そのために給与も安いような活動でも継続している。これが「自分のやりたいことができれば金は多少少なくても良い。」という考えの根底にある本質的な部分であると思う。

自分にとって研究とはどのよう行為かというと、未解明であったり課題であったりを自然科学を通じて解明することであり、その成果を世界中の人に伝わるようにできる限りハイインパクトなジャーナルを通じて発信することであると考えている。そうすることにより、それまで行ってきた自分の活動を意味のあるものにしていく、という具合に理解している。そのためには、どんな現象を追求して解明すれば良いのか、どんな課題を解決すれば良いのかを他の論文や文献を含む情報に基づいて理解し、そのために適切な実験やストラテジーを用いてその答えを出すということを行う必要がある。アメリカでの研究活動で学んだことは、この流れをディスカッションなどを通して本気で考え、そのストラテジーが正しいと考えられ、それが必要ならば時間がかかっても多少高額でも実行する必要がある、ということである。

一方、この研究所には、こういうことを考え、実行することができる人間がほとんどいない、少なくとも自分が所属した研究室にはいないように見える。研究では、目的を達成するために適切な方法を用いて、できる限り効率的に進め、さらに発展していく必要がある。これがほとんど実践されていないようだった。ここで行っている研究といえば、なんと、ほとんどの実験に目的、特に作業仮説がないという体たらくだった。この研究所のいくつかの研究部門ではヒト化マウスやNOGマウスを使っているが、その解析のほとんど全てで、腫瘍内、脾臓、骨髄、末梢血をいちいち全マウスに渡って回収し、理由もなく、T細胞、骨髄系細胞、NK細胞など、まるでスクリーニングを行うようにそれらの含有率を測定していることである(こんな馬鹿げたことをやっていない研究室はもちろんある。)。そして、最悪なのが、その数値をエクセルでまとめて終わり、データを眺めるだけである。入って最初の方に、なぜ全部のプロファイル(といっても情報は所詮少なく、その情報量は限定されているが)がいちいち必要なのか聞いたことがある。そのときの回答が、「そのデータにより何かが解るかもしれないから、全部採る。」ということだった(背景データ)。はっきり言って、そんなことで研究が成り立つことはない。何が解るのか教えてほしいくらいだった。目的があれば、そんな無駄なことをすべての実験に適用するなんてしないと思う。

もう一つうんざりしたことは、しっかりした解析を行うためのマウスの数が明らかに少なく、そのために常に解析が不十分であったことである。入って最初の頃、「データが随分とばらついており、これではある程度の結論を出すにはあまりにも不十分である。N数はどのようにして決めているのか。この数で十分と思っているのか。」と聞いたことがある。そしてそのときの回答が「不安定なのは知っているし、この実験ではNを増やすのが難しいので、その数のまま行っている。」ということだった。ちょっと待ってくれ。なぜ再現性がそんなにない??それはつまり現状の手段や考えを改めなくてはならないのではないのか??というか、なぜみんなそれを考えない???動物実験でN数が不適切なのに実験がうまく行かないから、もう一回同じ実験を行った、なんて、アメリカのときの研究室だったらタダでは済まない。おそらく、研究に向いていないとして辞職を進められてしまう。そういうことを延々と続けている(理由3.)。

すなわち、少なくとも所属した研究室は、上述した「研究を推進する」ことを行っていない。なぜ、そんな状態なのかを上記の研究スタイルから考えてみると、答えとして「この研究所は研究者ではなく技術員を求めている。」ということに至る。最悪である。残念ながら、この研究所で研究としてまかり通っていることは研究ごっこであると気がついた。通りで、修士卒の論文博士であり、論文もまともなものを出していないわけだ。そういえば、入って半年たったあたりで2022年当時の所長が言っていたことを思い出した。「技術に慣れるのではなく習熟しろ。」と….いや、研究しろよ。

PIの研究スタイルを見てもそれを確信させてくれることがある。現時点(2023年11月)での自分の研究テーマでは、シングルセルRNAシークエンスの結果から、ある種のマウスはこれ以上使用する必要がないことが示唆されている。ところがその不要なマウスは研究所の前所長(2023年11月時点)が開発した免疫不全マウスであり、どうやらそれを対象群に入れないのは非常に不味いらしい。なにが??だって解析結果が不要と言っているのだが….というか、科研費の研究課題にも関係あるし、無駄な実験している暇なんか無いのだか。逆に、その対照群の組み合わせで、一体どんな結果が出ると期待しているのだろうか。その目的は何なんだろうか。教えてほしいくらいだ。また、詳細は言えないが、なぜこのPIはしっかりした予備実験もなしにそんな大掛かりな移植実験を決め打ちで行うのだろうか。上手くいくはずがないし、そんな決め打ちでは見つかる解決策だって見つからない。

そういうことで、まるで研究とは言えないような、上記のようなくだらない作業を黙って、普段からのディスカッションもなしに、黙々とやってしまうということが起こる。今(2023年11月)でも自分には彼らは単にマウスで遊んでいるようにしか見えない。だって、それを使って何も解明していないのだから。それをイキりたおして研究だのと言われても、ゴミにしかみえないのである。昔、医者の一部は動物実験を行っている医学系研究者や医者に対して「マウスで遊ぶな」と考えていると聞いたことがある。そして、この研究所で行っていることは研究ではなく「マウスで遊ぶ」である。まさに、研究のガラパゴス諸島である。おそらく公益財団法人という事業所であるゆえに、競争をことごとく免れてきた結果なのだろう。

まとめると、この研究所には目的を達成するための適切な手段を試す能力がないと言ってもおそらく間違いではない。依って論文も出ないし無駄な解析を大量に延々と行ってしまう。ところが、必要とされているのはそういったことに異議を持たない技術員なので、論文にも繋がらない無駄な解析だって延々とやってしまう、ということである。

背景データ

ごく最近(2023年11月中旬ころ)になってわかったことがある。実は、上記のような実験しか行っていない、というか知らない理由があった。本当に不思議だったのだが、そんなセンスの欠片もないこととだったとは…

この研究所は、主に運良く開発できたマウスからロイヤリティーを得ったり実質的にはCRO的な業務から収益を得ていることを述べたが、それに必要なものは売り物のプロファイルである。その色々なプロファイルのデータを「背景データ」というらしいが、それをとることを研究だと思っているらしい、ということだ。だから、この研究室、さらには研究所の人間が言っている研究という行為に、目的や仮説が全くと言っていいほど含まれていない。言わせてもらうが、それは研究ではない。新所長も時々ミーティングに参加するが、よく「なぜその実験が必要なんだ??」ということを怒りを抑えながら質問しているところを見る。

理由1.6.共同研究が下手すぎて無いのと一緒

研究は、自身の研究成果をできる限りハイインパクトなジャーナルに載せることでやっと世の中に伝えることができることを上述した。そのための一つの近道が共同研究である。昨今、一人でやっている研究をNature、Cell、Scienceに載せるなんてのは、技術的、時間的にほとんど不可能か、非現実的であると言える。それは、あの手のジャーナルのSupplemental figureの多さを見れば一目瞭然である。あれは、複数の研究室が全力で行うことで成り立つ仕事である。自分がNature Communicationsを書いたときでさえそうだった。そのときに共同研究とはこういうものか、と学習したものである。異なる技術を持つ複数の研究室が協力することで、5年そこらでアクセプトまでたどり着くことができる。

この研究室もシンガポールのA.STAR(日本の理化学研究所的な組織らしいが)と共同研究はやっているようだが、その共同研究の成果やデータなんて、所属した研究室が関係する発表や報告で一度も見たことがない。そのA.STARが出した論文に自分の名前が入っているから、普段行っていない論文抄読会を開いてそれを読んで説明してくれ、という謎依頼が来たことがあった。その理由も考えてみれば酷いもので、それは「シングルセルRNAシークエンスの結果の読み方がいまいちわからないから。」ということだった(本当のところはそれが理由ではなかったのかもしれないが、そのメッセージだけが自分には伝わってきた)。そして、別のことで話をしているときに、まさにその論文に書いてあることを聞いてきて、自分は思わず「先生、それ、この論文に書いてますよ。」と思わずけっこう強めに言ってしまったことがある。その研究室のなかで共同研究というのは、ただマウスを提供することで名前を論文に入れてもらうということだったらしい。

それに、所属した研究室では、自分がシングルセルRNAシークエンスを行っていたが、A.STARでも似たようなシングルセルRNAシークエンスの解析を行っていた。そして、この研究室のPIはA.STARの方を採用したいように自分には見えた。自分の結果を出したときでさえ「シンガポールに聞いてみてもいいけど」となる。一体、なぜ解析をおこなっているのだろうか。全く意味がわからなかった。確かにA.STARのほうが規模も大きくBioinformatics専門の研究員が居るだろうし、それに装置や組織ももちろん大きく、自分のようなほぼ個人よりは圧倒的に力があるだろう。だとしたら、なぜ自分の研究室でも同じようなことをやっている?なぜその組織を使って全力でデータを取り、相互にディスカッションしない??おかしい。全く非効率である。じゃあ、はじめからシンガポールでやれよ。迷惑な話である。

というか、定期的なミーティングでの発表も下手、その目的も謎、毎週のJournal Club(論文抄読会)も無しの研究室なんて、基礎も固まっていないXXである。研究をやろうとしていない。

理由1.7.ちなみに

とにかく、この研究所はCROであり、現時点では自然科学の解明、社会や科学の問題や課題を解決する活動である研究を行っていないと言っても過言ではない。その証拠に、この実験動物中央研究所に来て一か月目に自分の与えられたテーマを行うために、ある基礎研究のテーマを提案したときのことだ。3人のPIのうち2人が言ったことは「それは実中研のやるべき研究ではない。」だった。いやいや、それ、Job Describtionに書いてあるけど。その2人はおそらく実中研のキーパーソンである。その他の1人が所属研究室のPIであり、大部分は賛成だった人である。これがまさにここが研究所ではなくCROであることの証明である。では、誰がそういった研究を行うのだろうか。その結果が、一般的には「NOGマウスなんて誰もしらない。NSGなら知ってる。というか実中研ってどこ?」である。これに関連して、研究員としても業務も酷く非効率なものであった。なんと半分の業務が技術員がすべきところである。研究とはどんなことなのか知らないというもう一つの証拠である。

理由2.仕事内容に対して給与が低すぎた

この章題だけを読むと少し誤解されそうなので、説明する必要がある。確かに、結論を言えばそうなのだが、本当のところはちょっとだけ違う。実際に行うことになった研究テーマに対し真っ当なストラテジーを用いて取り組むことができ、世間から評価される結果につながる研究を行えていれば、多少は安くても良いと今でも本気で思っている。しかし、上記のような全く成果を残すことが出来なさそうな研究スタイルで、かつ、自分に研究の方向性を決める権限が無いにも関わらずその方向性が目的と異なるような状態では、満足する成果も良い研究もできるはずもなく、そのためにもうこの安い給与では割に合わないという結論に達した。

方向性が無い、という部分は多少説明する必要がある。要は、研究結果からあるマウスを使うのは研究の目的の上では理にかなっていないことが明らかなのに、研究所の都合の上で使用することになり、シングルセルRNAシークエンスの結果に全く関係のない群に全群を変えられたことがある。まるで小さな大学の小さな小さな弱小研究室の仕事を見ているようだった。本当にXXなのかと思ったくらいである。流石にそれはアクセプトできない、という旨のメールを送り、なんとかそのPIの移行に沿う形にしたが、これで、そのシングルセルRNAシークエンスと来る12月下旬に行うシングルセルRNAシークエンスが無駄になってしまう可能性がある。この経験も、この研究室では駄目だなという警報を鳴らしてくれるに十分足るものであった。アメリカに行く前に所属していた研究室でもその警報を聞いたことがある。そこも在籍期間は短かったが、その研究室は今はもう存在しない。やれやれだ。

もし何も動かないまま、すなわち、退職の意思を伝えないままであったならば、必要な成果も出ずに時間だけが無駄に過ぎてしまっていただろう。そうなってくると、ここに居続けるのは良策ではないと考えた。実際に退職を伝えてもしばらくの間はそうではなかった。

給与の額だけで言えば、現所長も退職の面談(後述)のときに「低すぎる。」と認めている。なので、これを読んだ人に誤解されてしまいそうではあるが、結局のところ正しくもある。おそらく後任はもっと高額になるはずである。そうでなければ、本当に研究者を舐めているということになる。しかしながら、企業文化はおそらく簡単には変わらない。給与をもらっているが故に責任も増え、でも企業文化が研究用に育っていないので、後任は非常につまらない研究生活を送ることになると言えるだろう。

理由3.技術的な理由から他の研究室に勝つことが難しい

以上では研究体制の制限や企業文化が基礎研究で成果を残すためにはあまりにも不適切な研究室であることを述べた。ここでは、ヒト化マウスを応用するには技術的な制限が多い点について触れる。しかしながら、上記の研究に取り組む姿勢や成果について真剣に考えていれば、この技術的な制限についてはどうにでも成ることであり、ほとんど問題ではないと個人的に考えている。従って、非常に残念であると思う。でも、理想を差し置いても応用のためには不安定であることも事実であり、これについて真剣に考える必要がある。

理由3.1.実験が実質的に4か月毎になってしまい失敗したら半年以上が消し飛ぶ

まず、がんの生物学を研究し、そして成果を出すための実験の機会が少なすぎるように思う。この研究室はヒト化マウス、具体的に言えば、ヒトの造血幹細胞を移植したマウスを準備し、それに対しがん細胞を移植する必要がある。それを樹立できるまで、マウスに依よっては4か月、場合によってはそれ以上の時間が必要である。そして、研究室(研究所)のテーマとしてはこのマウスを必ず使った研究を展開しなければならなかった(理由2)。そして、もしその4か月毎の実験があまり上手くいかない場合、すこし条件を変えて改めて仮説の検証を行う必要があるが、それも4か月毎である。当然、この間にサブプロジェクトで基礎データを集めることがいくらでもできそうである。しかし、自分の場合はそれがあまり良しとされなかった(理由1.5.、1.6.1.7.)。そして、研究というものはあるデータをもとに仮説を立てて、それを実証し、さらにその上に成り立つ仮説を実証し、ということを積み重ねる。ということは、この研究スタイルに従っていたら、最短でも4か月毎の実験になる。だれがそのペースの研究をアクセプトするだろうか。まさかここまで酷いとは思わなかった。

理由3.2.ヒト化マウスの実験間のばらつきが大きすぎる

ある意味ではこれが研究を進める上での最大の制限だっただろう。理由3.1.は、研究スタイルによっては改善可能であるが、この理由3.2.は無理である。場合によっては、ヒト化マウス、特に造血幹細胞の移植により何らかの免疫系をヒト化したマウスは、応用や基礎研究に使えるほど安定していないという結論になると考えている。それくらい不安定である。

まず、免疫系のヒト化の具合が使用する造血幹細胞のロットに大きく依存する。時にはT細胞の増殖が16週で十分なときとそうでないときがあり、この予測が難しく、一定の実験条件を設定することができない。今ではそのスクリーニングにも慣れて対処もできるが、それでも本当に機能するT細胞にまで成熟しているかどうか、実験してみないとわからない。要は、本実験をしてみてようやくT細胞が機能していたかわかる。そして、気づいた人は居るかもしれないが、上手くいけば良いが、上手くいかなかったときにはその理由を正確に知ることはできない(もちろん、いちいちFunctional studyをやれば良いが….)。そして、遺伝的に同じはずの免疫不全マウス間であっても、T細胞の増殖や成熟に明らかに大きなばらつきがある。そしてこの理由もよくわからない。純粋に生物学的なばらつきだったとしたら、これは安定した実験にとってあまりにも致命的だと思う。ばらつきについてもう一つ、無視できない要素がある。それは雌雄差(性差)があまりにも大きいことである。これはおそらく今後、真面目に研究しなければいけない点ではあると思うが、利用者側にしたらのっぴきならない問題である。おそらく、エストロゲンか何かが影響しているのだろうが、雌の免疫不全マウスのほうが圧倒的にT細胞の成熟が良い。雄も最終的にT細胞が増殖、成熟してくるのだが、なんと4週間以上の差がある。これについても、従来のがん研究の慣例通り雌のマウスを主に使用すればよい(おとなしく扱いやすいため。)のだか、そこは生半可なガラパゴス研究所であり、それがあまり良しとされない雰囲気がある。実際、その研究室のPIは雄と雌を区別せずに使っているようだ(正直、この時点で研究としてどうかと思う。)。こういった実験材料では安定したメカニズムは研究できないし、上記の通り、ラッキーを得るのに20年以上かかってしまうだろう。それではがん研究として勝つことはできない。もしこれをアメリカのときのPIに話したらどう思うだろうか。眉をしかめながら首を横に振るだろう。その光景があまりにも目に浮かぶ。実際、アメリカで所属したラボでも一度ヒト化マウスを使おうとしたことがあるが、やはりその後、使用はされなかった。おそらくここに記したような理由が実際に起こったのだろう。

理由4.専門が基礎研究ではなく”背景データ”である

こういう状態なので、本当に色々考えた。この研究所でずっとやっていくのか…でも業績がなくなってしまう….。まるで高速道路を原付きで走るような感じである(走ったこと無いけど。)。考えた中で一つ重要なのが、自分のキャリアパスである。自分は、大きな分類では基礎医学研究を行ってきた。しかし、医者でもなければ、純粋な基礎研究者(理学)ではない。どちらかといえば応用研究者である。それを単純に、素直に市場に当てはめようではないか。それに日本では放射線ががん細胞に与える影響の研究、アメリカでは薬剤ががん細胞に与える影響の研究を行い、さらにゲノムとヒト化マウスモデルが得意である。何か特定の研究テーマに縛られていないことである。それに、自分の知識を基礎研究だけでなく社会に対して作用させてやりたいと思いっている。ということは、製薬か創薬が良いのだろうと思っていた。アメリカでも実はそう思っていたが、あまり良い機会がなく、そのときに丁度ヒト化マウスの声がかかり、それも面白そうだし、話をしている上では否定する要素もなかったのでそちらに行ったという経緯である(蓋を開ければリミテーションがいっぱいで研究どころではなかったのだが…)。ということで、そんなときに創薬ベンチャーに入る機会があったので、そっちでやってみるか、となった。キャリアパスや自分の考える今後とこちらの方があっているような気がする。言うても、何度もキャリアを変えているヤツの信頼なんて出来ないけど。

理由5.日本の科学は既に衰退しきっている

この記事(https://www.nature.com/articles/d41586-023-03290-1)を知っているだろうか。酷いものである。文科省がこんなことを認めているように思う。すなわち、日本の基礎科学研究の終焉である。もうどの国からも遅れをとることになるだろう。というか、日本自体も、もう科学で勝つことはできないと思っているのだと思う。だから、以下のような事業、女性・タレント重視・大学発ベンチャーを展開しようとしているのではないだろうか。

実際、自分はこれを体感している。アメリカから日本に移り、上記のように、こんなにも研究の効率やスピードが遅いのだろうか、とすごく強く思った。去年なんて、シングルセルRNAシークエンスに使用するシークエンシングの受託も話が通じなすぎて一苦労だった。アメリカなら一発だっただろう。それに、物品の値段だって、日を追うごとに高騰している。アメリカの2倍以上、無駄に代理店を入れるので場合に依っては3倍以上は金額を出しているし、納品までの期間だってアメリカでは3日なのに日本では2から3週間である。それに、日本に帰ってきて学会やシンポジウムもいくつか参加したが、本当にエキサイティングな研究が日本にはない。エキサイティングですごいと思う研究は、すべて海外からの招待講演だったりする。それに、当の国でさえ、まるで国は基礎研究をサポートできないと公言しているようにも見える。その証拠に、毒にも薬にもならない大学ベンチャーの創出に力を入れだした。基礎研究とは金にならないものであるが、その力がなければ国は衰退するだけである。金にもならないからこそ、企業ではなく国が行う必要がある。それなのに、その金にならない研究で大学発ベンチャーの立ち上げに力を入れる。だから、稼げないって。日本の科学の衰退は想像を遥かに超えて深刻だと思う。だから、この機に外に出て、外で生き抜く力を身につけるのが良いと思った。

だが断る

8月下旬に辞職の意思をPIに伝えたときに「自分(PI)だけで判断することは出来ないし、そのような意思を持っている以上、こちらから引き止めることは出来ない。」と言われていた。だから率直に「やった楽勝で辞めることができた。」ととても安心していた。

辞職の意思をPIに伝えてから、1ヶ月半くらい経って、嘘みないな話が上がった。2023年4月から新所長に変わったのだが、その新所長から呼び出しがかかった。そのときに履歴書を持ってくるように言われたので、何か面倒なことになっていることに気がついた。突然言われたのでなんの準備もしていない。だから、アメリカで使っていた履歴書、レジュメ、業績リストを印刷して新所長との面談に臨んだ。

そこには新所長に加えて、所属研究室のPIと、理由1.7.で出てきた「それは実中研のやるべき研究ではない。」と言ってきた人間のうちの一人、合計3人が座っていた。どうやら、証人としてその2人を付けたらしい。ちょっと脱線するが、この人間は結構高いポジションに居る人で、よくわからないのだが、けっこうな発言権がある。正直に言えば、そのときの所属研究室のPIのほうが絶対に研究する力もあるし知識もある。なのに、そのPIはその人間に従っているように見える。そして、この発言権がある人間が、研究部門にいろいろと口を出しているのではないかと思っている。だから、なおさら研究のレベルが下がるのではないのだろうかと、本気で考えている。間違っていても遠からずなはずだ。

その面談では、なぜ辞めたいと思っているのかを聞かれた後(といっても、この時点で本心は言っていない。外面が良くて聞こえの良い理由を言っている。)、その三人、というか新所長が「抜けられたら困る。」ということを言ってきた。そしてその条件として大幅な年収アップと新部門の部門長を約束するといってきた。部門長って…..もはや現所属のPIよりも上のポジションの可能性がある。どうやら、Wet(主に細胞、マウス、検体を使った実験や解析)とDry(大雑把にコンピューター解析)を両方こなすことができる人間は稀であること、この研究所にも将来そのような知識をもつ人間が必要であるが、そのような人間はほとんど集まらないということから、そのような提案をしたいということだった。月曜日に、改めて自分の意思を聞かせろ、ということを言ってきた。自分はすぐにこれが、いわゆる「チョークトーク」と言うヤツだと理解できた。でも、2日間ぽっちでそんな新部門の部長クラスの事業を考えってのはかなり無茶だった。だって、突然である。これはオフレコということで相談も出来ないし、そもそも、新所長以外、自然科学をやったことが無いのだから。

そうも言っていられないので、その週の金曜日の夜に、かつてお世話になった研究者に相談したり、土日にかけて必死で今後について検討した。かなり必死で考えたので、わりかしいいアイデアも浮かんでいた。それを行えば、かなり良い研究や事業ができるだろうと思っていた。しかし、やはり、発言権のあるあの人間の一言「それは実中研のやるべき研究ではない。」ということや、その面談でさらにその人間が言った一言「お前のバイオインフォマティクスにこそ価値がある。」などがどうしても引っかかっており、そして、それまで行ってきた研究を発展させようものにも、がん研究におけるヒト化マウスの利便性と安定性の悪さ(理由3.1.、理由3.2.)、ヒト化マウスを使う上での研究室間のコラボレーションにおける制限(理由1全部理由4.)などを鑑みて、その研究所で研究を続けていても現実的な期間でNatureやScienceなどに掲載されるまでの研究成果は得られない(理由1.3.、20年かけたいんだって)だろうという結論に達した。

そして来る月曜日に、新所長に改めて呼ばれたので、所長室に行き回答した。

だが断る

新所長はそんな大きなオファーなので、当然のように受け入れると思っていたようだ。断ったときにはもはや落胆しているのが明らかだった。このときは新所長とのタイマンであり、自分としても「ああ、これは逃げれない…」と思ったので、外行きの理由ではなく本心や根底にある考えを全部正直に伝えた。本当に、理由1から7を全部正直に述べた。それを聞いた新所長は、それは研究所の現状としてまさにその通りであると理解してくれたが、全くもって腑に落ちていないようだった。

正直言って、この決断は自分にとっても非常につらいものだった。研究所に残っていれば、快適だったかもれない。それに、今のこの酷い企業文化を築いたのは、その新所長ではない。この新所長は本当に、自分のような小物が意見など言ってはいけないくらいに優秀な研究者である。だから、きっと今後はこの研究所は変わると思う。そのように割りと本気でそう願っている。この新所長は絶対にすごいと思う。

企業文化というのは変わるのが難しい。キャリアづくりの教科書(徳谷 智史、NewsPicksパブリッシング)という本を読んだが、それにそう書いてある。そのような状況のなかで、この新所長がどのくらい文化や雰囲気を変えてくれるのか、期待したいところである。

それに、新所長とTR部門の部長から、創薬ベンチャーに行くことを滅茶苦茶に否定されたんだけど…彼らが言うには、製薬で10年後(5年後って言ってたっけ??忘れたわ。)に残る企業は中外製薬しかないらしい。あと、あと10年(5年だったっけ??)で10万人(正確には忘れたわ。)減ることからも、日本の大学をはじめとするアカデミックは、自分(新所長)の代で終わりらしい。ここは同意。

まとめ

そういうことで、11月17日(金)に退職願を提出してきた。そして来年の1月からアカデミックから創薬ベンチャーに移る。とりあえず、今回ばかりは非アカデミック素人になってしまうので、まずは5年真剣にやってみようかと思う。そして、今までに無いくらい本気でやってみようかと思う。それによって多少嫌われても、今回はしょうがないかなあと思っている。

というか、やっぱり嫌な予感って当たるんだよな。ということは、次の職場でも、ネガティブなところは当たるような気がしてならない….